BE:FIRSTの初の東京ドーム公演を贅沢な没入感で体験!『BE:the ONE -MEANT TO BE-』SceenX版レビュー
BE:FIRSTのライブドキュメンタリー映画『BE:the ONE -MEANT TO BE-』が公開中だ。グループ初の東京ドーム公演「BE:FIRST LIVE in DOME 2024“Mainstream-Masterplan”」初日のライブパフォーマンスを軸に、メンバーの素顔と生の言葉で構成された本作。前作『BE:the ONE』(23)に続き、早くも海外での上映も決定している。本作は、通常の2D上映のほかScreenX、4DX、ULTRA 4DXでの特別上映も公開されている。本稿では、『BE:the ONE -MEANT TO BE‐』の見どころのほか、ScreenX版の臨場感あふれるライブ体験をレビューしたい。 【写真を見る】愛おしそうな表情でBESTYを見つめるメンバーたち。BE:FIRSTの姿や表情をより大きく鮮明に! ■SceenXで迫り来るようなライブ体験を味わう! まず、「BE:FIRSTを深く知らなければ楽しめないのではないか」と尻込みしている人がいるなら、その点は問題ないと伝えたい。例えば、「Boom Boom Back」「Mainstream」が、なぜBE:FIRSTにとって重要な楽曲であるのか、これらの楽曲に込めた想いや、リリースしたことで世間からどのような反響があったのか?そうしたプロセスも本作でなぞっている。ライブフィルムであると同時に、2024年3月2日という初ドーム公演1日目までの歩みを改めて辿る構成だ。終盤、LEOが涙を見せたシーンも同様。それがどれほどのことであったのかは、BE:FIRSTを知らなくともわかる。語りすぎず、彼らの歴史を映画として紡いでいくことで、一つ一つの出来事が持つ意味を観る者に伝えている。 「ScreenXでしか体験できない世界」という観点での見どころも述べておきたい。正面スクリーンと両壁面スクリーンの計3面で構成されるScreenX。本作では多くの楽曲で、7人のパフォーマンスが3つのスクリーンに拡張する。さらに、例えば「Boom Boom Back」では、トラックに合わせて揺れるようなカメラワークが視界いっぱいに広がり、臨場感とも新感覚ともいえる、迫り来るようなライブ体験を味わうことができる。 また、スクリーンが3つあるからこそ成立する演出や効果も見逃せない。「Softly」の後半では、会場のLEDに映しだされた泡のような映像がサイドスクリーンにも展開し、映画館が幻想的な世界に包まれた。こうした、ScreenX投影ならではの演出による贅沢な没入感は、日常でそうそう味わえるものではない。 本来は1つのスクリーンに映す映像を3つのスクリーンにわたって投影するのだから、当然、1人1人の姿や表情はより大きく鮮明に見える。劇中では幾度となく、彼らの雄弁な瞳に目を奪われた。なかでも、BE:FIRSTのはじまりの曲ともいえる、SKY-HIが書き下ろした「To The First」では、約束の場所である東京ドームを見わたす7人の瞳が印象的で、ドームという会場、そしてこの日を噛みしめているように感じた。そうした等身大の姿を感じられる一方、とくにマイクを握っていない時の、"仕事人"ともいえる表情や所作にも注目してほしい。フォーメーションがあり、そのうえでそれぞれの表現、解釈があるからこそ、立ち位置やカメラワークを問わず全員が主人公だ。すなわち、サイドのスクリーンに映る表情も見逃すことができない。 ■BE:FIRSTの夢を共有してもらったような感覚…次の景色も楽しみ 「大きく鮮明に見える」と述べながら矛盾するようだが、ふとした瞬間に東京ドームの広さや遠さをしっかり感じることができるのも、「約束の日」を描いた本作だからこその見せ方であり、見どころであると思う。しかし、メンバーの背中越しに見えるBESTYは、思うよりも遠くなかった。彼らはこんな景色を見ていたのかと、映画を通し、7人の夢を少しだけ共有してもらったような気持ちになる。 これは勝手な想像なのだが、生バンドを交えての「Scream」の頃には、彼らはもう、東京ドームを狭いと感じ始めていたのではないだろうか。“堂々”といった類の言葉で表すのはぬるいくらいの、存在感と掌握力。それはスクリーンなどゆうに超えてくる。BE:FIRSTは、この日初めて立ったはずの東京ドームさえも、自分たちの居場所に変えていた。 つくづく彼らは、「個」であるからおもしろい。同じ夢を見、同じ想いを抱き、同じ音楽を届けながらも、7人それぞれに自分の世界があり、自分の表現があり、それが1つになってBE:FIRSTがある。彼らが、「BE:FIRST」という名を与えられた意味。そして、その名にふさわしくあるために走ってきた道のり、その名を誇りに進んでいく背中を、あらためて実感する作品でもあった。「Shining One」のタイミング、そのなんとニクいことだろう。 ドーム公演当日の動員は、およそ5万人。しかしScreenXに広がる世界では、10万人にも15万人にも見えた。そして、そのほうが彼らに似合うと思った。「世界連れてってやるよ!」という言葉に、改めてハッとする。日本発のグループが、この“バカでいいやつ”たちが、日本からムーブメントを作る未来がきっとくる。いま、この波に乗るべきなのではないかと突き動かされた瞬間が何度もあった。3つのスクリーンに広がる無数のペンライトは、間違いなく、そう遠くない未来の現実だ。 終盤、「Glorious」「Message」と続くボーカル曲。なんとも愛おしそうな表情でBESTYを見つめるメンバーたち。どこかのスタジアムか、あるいは音楽さえあればどこでも。言葉を超え、きっと世界のどこかで、この“ラララ”の大合唱がもっともっと大きな声で響く。近い未来の次なる景色が、白昼夢のようにダブって見えた。 文/新亜希子
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