箱根駅伝の選手たちも実行した「素早く平常心に戻れる呼吸法」がある?
体も心も元気でいるには正しい呼吸が大切!先日は基本的な4・8呼吸法を内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり国際的に活躍中の根来秀行教授に教えてもらったが、今回は少しだけレベルアップして、二酸化炭素の過度な低下を防ぎ、適度な緊張感を保ちつつリラックスもできる「5・5・5呼吸法」をご紹介しよう。
二酸化炭素の過度な低下を防ぐ「5・5・5呼吸法」とは?
二酸化炭素濃度が停滞すると、細胞呼吸が停滞する。「5・5・5呼吸法」とは、呼吸の途中で息を止めることで、血中の二酸化炭素濃度を適切な値に近づけていく呼吸法だ。 「ポイントは、呼気、吸気と同じ時間だけ息を止めること。血中二酸化炭素の過度な低下を防ぎ、慢性的なストレスで呼吸が浅くなっている人の呼吸トレーニングとしても最適です。 緊張しすぎて過呼吸になっていても、短時間で適度に脈拍や血圧を下げ、素早くクールダウンさせることができます。 続けて行うことで深い呼吸が習慣づけば、自律神経のバランスだけでなく、トータルパワーもアップして、マイナス思考からも脱却できますよ」(根来教授) コロナうつ気味な今、即、実践したい呼吸法はこちら。
■How to 5・5・5呼吸法 【イラスト左から】 1. 椅子でもあぐらでも自分がラクな姿勢で座り、ゆっくりと息を鼻から吐き切り、お腹をへこませる。 2. 5秒間息を止める。 3. お腹をふくらませながら5秒で鼻から息を吸う。 4. 5秒間息を止める。 5. おなかをへこませながら5秒でゆっくりと鼻から息を吐く。1~5を5回繰り返す。 「パニックになりそうなほどの危機的状況でも実践しやすく、平常心を取り戻すのに大いに役立ちます。実際、2019年の箱根駅伝往路で青学チームが大きく劣勢となった後も、緊張を和らげるために復路の前にこの呼吸法にトライしてもらい、結果、復路は優勝し、全区間でも2位にまで巻き返すことができました。 5・5・5呼吸法は、アメリカの軍隊や警察の特殊部隊等で取り入れられている「tactical breathing(戦術的呼吸)」をアレンジしたもので、ノルアドレナリンの暴走を防ぎ、不安や興奮、恐怖をその場で抑える効果があります。上がりすぎた交感神経を適度に整えてくれるため、ほどよい緊張感を保ちながらリラックスもできるので、集中して積極的に打って出たいときにおすすめです」 教えてくれたのは… 根来秀行教授 1967年、東京都生まれ。待望の新刊『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』が発売に! 前作『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(集英社)は版を重ね、台湾、韓国でも翻訳され好評発売中! ハーバード大学医学部PKD Center Visiting Professor、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、杏林大学医学部客員教授、信州大学特任教授、東京大学客員フェロー、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活躍中 撮影/角守裕二 取材・原文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン