Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

赤西仁と錦戸亮が切り拓く 「辞めジャニ」の新たな地平

配信

FRIDAY

「NO GOOD TV」が面白い。 YouTube上で、アメリカに住む赤西仁と日本在住の錦戸亮がリモートで会話するだけの、まるでラジオのような番組が始まったのは、4月9日のことだった。 【画像】亀梨和也 金髪美女と六本木でバースデー・デート 2014年2月末をもってジャニーズ事務所を退社した赤西と、昨年9月30日付でジャニーズアイドルとしての活動に終止符を打った錦戸。 2人はかつて、「ザ少年倶楽部」(NHK BSプレミアム)という番組で、KinKi Kidsの「愛のかたまり」を歌ったことがある。堂本剛が作詞、堂本光一が作曲を担当し、“あなた”という最後の人に出会えた喜びを、マイナーな曲調で切々と歌い上げる通称「愛かた」は、KinKiファンのみならず、ジャニーズJr.やそのファンにとっても“神曲”とされ、長く後輩たちに歌い継がれている。 中でも、赤西と錦戸バージョンは別格で、今も古参ファンの間では伝説として語り継がれているほどだ。 ◆ジャニーズJr.古参ファン最強の“シンメ” 2人の仲の良さはファンにもよく知られるところで、2010年の冬、まだKAT-TUN脱退前の赤西が日生劇場でソロコンサートを開催した時、錦戸と合作の「Hey Girl」という曲が披露され、錦戸本人が飛び入り参加したことも。 KAT-TUN内でいえば、ドラマ『ごくせん』の影響もあり、赤西の相方でありシンメ (※シンメトリーの略=ジャニヲタ用語では、集団の中で一対をなす特別な2人の関係性を指す)といえば亀梨和也、と世間には認識されていただろう。でも、2000年代前半にジャニーズJr.を愛でた古参ファンが懐かしむ“幻の最強シンメ” は、実は錦戸と赤西だったのである。 そんな経緯を振り返ると、“アイドル”から脱却した2人がこうしてタッグを組んだのは、必然だったのかもしれない。昨年12月には、2人の共同プロジェクト「N/A」が発足、3月11日と12日の赤西のソロライヴを経て、5月24日には、ハワイで2人のライヴをすることが発表されていた。が、赤西のソロライヴは2月23日に、錦戸とのハワイ公演は3月27日に、それぞれ中止が発表され、落胆するファンの元に届いたのが、「NO GOOD TV」だった。 日本とアメリカ、それぞれの自宅から(しかも赤西仁は寝室から)動画を配信。ただ話すだけの、タレント任せなリモート動画と違い、スタッフによる企画も用意されているようで、時々、そのスタッフの笑い声が入ったり、2人がカンペを読んでいるような場面も挟まれる。ラジオの公開放送リモート版かと考えていたら、良い意味で期待を裏切られた。 住んでいる部屋の雰囲気がわかるだけでも、身内のような親しみが湧くものだが、何より、2人の雰囲気がリラックスしていて、楽しそうなことに引き込まれる。表情にも、発言にも、一つも嘘や無理や背伸びがなくて、それぞれが、人間的魅力に溢れているのだ。 いわゆるアイドル的なルールに囚われることが窮屈だったのか、ジャニーズ時代は、何かと誤解されることの多かった2人である。でも、「NO GOOD TV」の2人は、おそらく同性から見ても「友達になりたい」と思うはずだ。 突然、知り合いにLINE電話をする話になり、「すぐかけられる人がいない」と嘆く錦戸に、赤西が「俺も元相方ぐらいしか……」と呟く。すると、「え、亀梨くん?」と錦戸が聞き返すと、「(山田)孝之」と赤西が答え、「そっちか」と苦笑いするなど、展開もなかなかスリリング。 ◆山田孝之、小栗旬も登場し、過激な悪ふざけ 3回目からは山田孝之が加わって、どんどん普段の顔が見えてくるのだが、それぞれの“人の良さ”は、小栗旬が加わった第5回で爆発した。 第5回の終盤では、4人が4人とも画面に映らないところでそれぞれの下半身を露出させた状態で会話を続けるという暴挙に出る。実際に露出させているかどうかは本人のみぞ知るところだが、これは、スポンサーのつくテレビではご法度な行為だ。「おふざけが過ぎる」と女子受けだって悪いかもしれない。でも、これが不思議と不快な気分にならないのは、4人のピュアな少年性と、エンターティナーとしての実力、顔面の強さ(美しさ)がフォローしているせいだろう。 そのちょっと過激なことをしている4人と、それを面白がって観ている自分に、“共犯感”が生まれるところが、まるで昔の深夜番組を観ているようでもある。 子供の頃、深夜番組を観てワクワクした気分の中には、「親に見つかったら怒られるかも」という「ちょっと悪いことをしている気分」も含まれていたはず。そこかしこでコンプライアンスが叫ばれ、過激なほどに社会ルールが尊重される時代になって、テレビ的“悪ふざけ”は、次々に封印されてきた。でも、「NO GOOD TV」で、人が本気で楽しんでいるところを見ることはやっぱり楽しいと再認識させられる。 「別にどう見られてもいいや」というある種の開き直りと自信が、YouTubeにおいては、彼らをとてもカッコよく見せるのだ。 もちろん、ジャニーズのタレントが出ているバラエティや、コンサートのメイキング映像、最近ではSNSから配信される動画などでも、彼らは素顔を晒していて、それらは十二分に魅力的だ。ただ、ジャニーズに所属している限り、「どう見られても構わない」は通用しない。そこにはやはり「夢を与える」という大前提があるからだ。 赤西や錦戸は、成長し、経験を積み、自分の表現を見つけたことで、そのジャニーズ的なコンプライアンスに則ることが、窮屈になったのかもしれない。「NO GOOD TV」の2人は、無理なく、お互いの良さ……それは誠実さだったり、無邪気さだったり、不器用さだったり、お互いを好きな思いだったり、そんな気分をうまく引き出しあっている。 ◆赤西が真摯に願う“ジャニーズへの恩返し” 筆者の一番のオススメは第6回。錦戸の「仁は友達作るのがうまい」の一言から、小栗旬が、自分がなぜ赤西と山田孝之が好きか、なぜこの2人に憧れているかを語る。その流れで、赤西は、「(ジャニーズ事務所にいたことは)否定していないし、感謝もしているし、恩返しもしたい。向こうがもっとオープンになってくれれば、こういうのどうですかとか……。でも、だから、やるしかないじゃん。発信することで、それが自然になっていくんじゃないかなと俺は思っているよ」と発言した。とても真剣な眼差しで。 もし、赤西仁や錦戸亮にあまり良くないイメージを持っている人がいたら、ぜひ、「NO GOOD TV」を見てほしい。彼らは、ジャニーズで活動する途中で、自分がやりたいことは「アイドル」ではないことにたぶん気付いてしまっただけなのだ。 赤西は、周りと足並みを揃えることができずにもがきソロになり、本気で人を好きになって、アイドルから“卒業”した。錦戸の場合は、グループのために尽くそうとして、かえって疲弊してしまったのかもしれない。誤解されやすい2人だけれど、これまで彼らは、誰かを傷つけたり、何かを否定したりはしてこなかった。これを見れば、たぶん、2人の印象が変わるだけでなく、ゲストとして参加している山田孝之や小栗旬、藤森慎吾に対しても、テレビとは違う親しみを感じるはずだ。 企画にしても編集や音楽の入れ方にしても、「NO GOOD TV」はすべてがとても洗練されていて、でも十分ふざけていて、筆者としては完全に、久しぶりにお洒落な深夜番組を発掘した気分だ。ただ、赤西もこの第6回で認めているように、全ては「そこ(ジャニーズでの経験)がなかったらできなかったこと」である。 赤西を可愛がっていた滝沢秀明が運営する「Johnny’s official」チャンネルが子供も楽しめるコンテンツで埋め尽くされているのに対し、「NO GOOD TV」は完全に大人向け。とはいえ、“家で自粛生活を送っている人を少しでも楽しませたい”という思いは同じだ。 ところで赤西は、ジャニーズの後輩からの人気がものすごい。ジャニーズJr.の多くは、前出の「ザ少年倶楽部」で、赤西が作った曲を好んで歌うことが多いし、デビュー組でも、まだ持ち歌が少ない時は先輩たちの曲の中から好きなものを選んで披露するのだが、そこに赤西の曲が選ばれる率は非常に高い。 また、俳優としてもたくさんの代表作を持つ錦戸は、共演した後輩を中心にディープに慕われていた。よって、ジャニーズJr.内での「NO GOOD TV」の視聴率はかなり高いはずだし、赤西の「(ジャニーズに)恩返ししたい」というコメントは、アイドルとして活動はしたいけれど、こと音楽に関しては世界に打って出たい、アーティスト性を極めたいと願う若手にとって、一つの希望になるだろう。 取材・文:喜久坂京 ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

FRIDAYデジタル

【関連記事】

最終更新:
FRIDAY