熱中症・脱水症状・疲労による集中力低下が遭難事故につながる恐れ
長野県では県内で起きた山岳遭難事例について「島崎三歩の山岳通信」として情報発信している。第196号では、疲労による集中力低下が起こす遭難事故について言及。自分の体力・技術に見合った登山計画と、状況に併せて臨機応変な対応を呼びかけている。 ・8月3日、北安曇郡小谷村の雨飾山で、仲間と2人で入山していた71歳の男性が登山道で倒れているのを発見される山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助されて病院に収容されたものの死亡が確認された。登山中に発病したものと思われる。 ・8月3日、八ヶ岳連峰雨池山で、6人のパーティで入山した21歳の女性が、大河原登山口から雨池山を経て三ツ岳へ向けて縦走中、疲労による体調不良で行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳救助隊員と佐久警察署山岳高原パトロール隊員が出動し、女性を救助した。 ・8月7日、北アルプス常念岳で、3人パーティで入山した68歳の女性が、常念岳から下山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。女性は安曇野警察署山岳遭難救助隊員などにより救助された。
・8月7日、北アルプス白馬岳で、2人パーティで入山した50歳の男性が、猿倉登山口から白馬岳へ向けて登山中、落石により負傷する山岳遭難が発生。男性は大町警察署山岳遭難救助隊員により救助された。 ・8月10日、小川山・廻り目平で、仲間5人とロッククライミングをしていた36歳の男性が、バランスを崩して約5メートル転落、腰部などを負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助され、佐久市内の病院に収容された。 ・8月10日、八ヶ岳連峰東天狗岳で、2人パーティで入山した52歳の女性が、東天狗岳から根石岳へ向けて縦走中に足を滑らせて転倒し、右足首を負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助され、茅野市内の病院に収容された。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
8月2週は、6件の山岳遭難の発生があり、1名の方が亡くなっています。 8月に入り、3,000メートル級の山でも、日差しが強く、暑い日が続いています。熱中症や脱水症状にならないようにこまめに水分補給をしてください。疲労などで集中力が欠如することが、転倒や滑落の原因となることが多いので、当日の体調や疲労度により、コースを変更する等臨機応変な対応が山岳遭難を防止します。登山計画書のとおり行動するあまり、自分の体力・技術に見合っていない登山にならないようにしてください。 また、バリエーションルートを考えている方は、豪雨の影響などにより、岩場の状況が大きく変化している場合があります。支点などをよく確認するとともに、グループ内の技量に見合ったルート選びと、無理のない行動をお願いします。 長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と「登山者への5つお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、自身の体力や技量より、レベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。 県内の登山口やキャンプ場などにおいて、熊の目撃情報が多数ありますので、登山する際は注意をしてください。