乱立するワイヤレス映像転送技術 どんな規格があるの?
WirelessHD
Intel/LG電子/パナソニック/NEC/サムスン/SiBEAM/ソニー/東芝などの家電メーカーを中心に結成された、WirelessHDコンソーシアムが策定した技術。「ミリ波帯」と呼ばれる60GHzの周波数帯域を使い、非圧縮の高品位な映像と音声を伝送できます。 ◆主な対応機器 ・テレビアダプター:シャープ「VR-WH1」、ソフトバンク「WH01」など ・プロジェクター:エプソン「EH-TW8200W/TW6100W」など
WiGig
WirelessHDと同じく、60GHzの周波数帯域を使って非圧縮の高品位な映像と音声を伝送できる規格。Intel/Microsoft/LG電子/NEC/ノキア/サムスン/パナソニック/デル/ブロードコム/アセロス・コミュニケーションズなどがWireless Gigabit Allianceを結成しています。2012年には、Wi-Fi Allianceとの活動統合を発表しました。
AirPlay
米Appleが音楽データのストリーミング再生用に開発した「AirTunes」を、動画や画像にも対応させた規格。家庭内のネットワークに接続したセットトップボックス「Apple TV」経由で、iTunesをはじめiPhone/iPod touch/iPadなどで再生中のデータを、別の機器からストリーミング再生できます。従来は720pまででしたが、2012年3月発売のApple TVで新たに1080pへ対応しました。 ◆主な対応機器 ・スマートフォン/タブレット:アップル「iPhone/iPod touch/iPad」など ・テレビアダプター:アップル「Apple TV」など
ユーザーが“置いてけぼり”になる可能性も
これらの規格はいずれも異なる企業・団体が制定しているため、一部を除いて互換性がありません。これでは対応製品の幅が限られますし、仮に一度環境を整えたとしても、次回買い換え時に対応製品が登場するかすら怪しい部分があります。つまり、製品を購入したユーザーが“置いてけぼり”になる可能性があるわけです。 ワイヤレス映像伝送自体は大変便利な技術なのですが、こうした規格の乱立状態が足かせになり、爆発的な普及につながらない要因ともいえるでしょう。もちろん利用周波数帯が異なるため、すべての規格を統合することはできませんが、少しでも互換性を持たせられるとユーザーも使いやすくなるはずです。