リバプールに完敗!トッテナム「策士・モウリーニョ」戦術大破綻の理由
【イングリッシュ・プレミアリーグ トッテナムvsリバプール 2021年1月28日(日本時間29:00キックオフ)】 【動画】完璧だったはずのトッテナムの守備が崩壊しリバプールに3失点 トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督は、相手の良さを消して勝つタイプの監督だ。この試合には5バックでリバプールの攻撃を封じ、ハリー・ケインとソン・フンミンのコンビでゴールを奪う、というわかりやすいプランで臨んだ。 リバプール相手に5バックを採用するメリットは2つある。 1つ目は、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラーの3トップに3枚のセンターバックで対応すれば、一旦下がって起点を作る動きや空きスペースへの動き出しを誰にされてもマンマーク気味について行くことができること。2つ目は、アンドリュー・ロバートソンとトレント・アレクサンダー=アーノルドの両サイドバックが、高い位置で攻撃に絡むことがリバプール全体の調子を左右するので、アタッキングサードよりも手前でウイングバックに対応させ、自分たちに数的不利が発生することなくリバプールを機能不順に陥らせることができることだ。 試合開始早々、この試合の鍵となるプレーが見られた。2分、アレクサンダー=アーノルドが自陣から一気に最前線のマネにフィード、マネが落としたボールをサラーがすぐにリターンすると、マネとゴールキーパーの1vs1が生まれた。シュートは枠外に飛んでしまったが、マネに右ウイングバックのセルジュ・オーリエとセンターバックのジョー・ロドンの間を使われた。 5バックで3トップとサイドバックに対抗する、というモウリーニョ監督のプランは盤石なものに思われたが、自らの策によって綻びも生まれていた。
■堅い守備をさらに強固にする方策も
もともと、ボールが逆サイドにあれば、片方のウイングバックは余っている状態になる。リバプールの3トップの誰かが中盤に降りてプレーしようとしても3バックの1人がマンマーク状態でそこについて行く、というやり方を紹介したが、常に全員が1vs1で勝負し続けるわけではない。 ボールから遠いほうのウイングバックはペナルティエリア内のスペースを無くすために動き、リバプールの3トップのうち残りの2人が動ける場所は、残った2人のセンターバックと余ったウイングバックの計3人によって消される、という状態を作る。 簡単に言えば、2人のフォワードと3人のディフェンダー、という数的有利な状態で最終ラインを守ることができ、それが堅い守備をさらに強固なものにする。 しかも、守備時のトッテナムはフォワードのステーフェン・ベルフワインが右サイドに1段落ちてくる。こうなるとリバプールの左サイドバックであるロバートソンをベルフワイン見ることができるため、オーリエはやはり余ることになる。ロバートソンに2人で対応することもできるし、もしリバプールの3トップがそのまま最終ラインに並んだままならば、最終ラインに加わって4枚でペナルティエリアを守ることもできる。 そういう状態が確保されていれば、中盤の選手は最終ラインの守備を気にせずにジェームズ・ミルナーやチアゴ・アルカンタラを潰しに行くことができる。 この完璧に思える守備のどこに綻びがあるのか。 それは、数的優位が確保されることが前提となっている環境で発生する「マークの受け渡し」の中に潜んでいた。