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「“左翼のアイドル”から抜けられなくなって」……PANTAが明かす“頭脳警察を一度解散した理由”

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文春オンライン

 結成から50周年を迎えた伝説的ロックバンド「頭脳警察」。その活動の軌跡を、本人はもちろん、様々な証言と記録フィルムで見せる映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』が公開される。 【写真】この記事の写真を見る  安保闘争と学生運動に揺れた1969年。頭脳警察の産声は時代に大きく響き渡った。 「欧米のロックに一矢報いたい。カッコ悪くても自分たちの言葉で歌いたい。そういう思いでTOSHIと始めました。政治的意識なんかなくて、むしろセクト主義を小バカにしてたくらいでした」  関東学院大学2年生で赤軍派・上野勝輝の「世界革命戦争宣言」を手にしたPANTAは、そのヒューマニズムに打たれた翌日、日比谷野音の聴衆を前に〈――君達にベトナムの民を殺す権利があるなら、我々にも君達を好き勝手に殺す権利がある!〉と音楽に乗せて絶叫したという。 「適当なリズムに乗せてウィスパーでやるつもりが、頭に血が上ってアジテーションになっちゃった(笑)。そこから一気に支持が広まった」 《俺達の地球が食い荒らされて 疲れた太陽が昇るから 俺達はゲロみたいに出て行った 暗い街へ凍った街道へ》(赤軍兵士の詩)、《銃をとって叫べ 誰に俺たちが裁けるのかと 銃をとって叫べ 誰が大地を汚したのかと》(銃をとれ)。これらを収めた1stアルバムはレコード会社がプレス直前に発売中止を決めた。 ※作詞・作曲 Pantax’s World 作詞 BRECHT BERTOLT 作曲 Pantax’s World 「72年2月、あさま山荘事件が起きて会社が発売を止めて、同じ年の5月に出した2ndアルバムもテルアビブ空港乱射事件が起きて1カ月で発売中止。1曲目が録り直した『銃をとれ』だったから、さすがに無理だよね」  それでも頭脳警察の歌は求められ、全国の大学で『世界革命戦争宣言』を歌い続けた。 「一日に何度もやる歌じゃない。あまり繰り返すから、頭脳警察は“左翼のアイドル”から抜けられなくなってイメージが歪んでいった。それで75年に解散したんです」  PANTAとTOSHIが別々の音楽活動を経て再結成したのは90年。 「自分たちがどう変わったのかは分からないけど、『万物流転』というテーマで再開した。鴨長明の『方丈記』ですよ。昔と変わらないように見えて、世界と一緒に動いてる。つまり止まっていない。だから現役でやっていられると思う」  ソロ活動では民族派団体の誘いでクリミアでのライブにも参加した。思想も国境も、人を分けるものにはならない。 「歌は流れた時点で聴いた人のもの。だから反論があってもいい。でも理屈並べるんじゃなくて、俺はこう思うっていう本音を叫んできたかな。それがロックだから。親父が働いた所沢の米軍基地で、メリックって軍曹が俺を可愛がってくれてね。夕日に照らされた芝生の上で、『ケンタッキーの我が家』をハーモニカで吹いたの。それが子供心に染みてね。音楽は、世界共通の最強の武器になるんだよね」  加藤登紀子、大槻ケンヂ、山本直樹、浦沢直樹など、多くの表現者がインタビューに応じている。 パンタ/1969年12月「頭脳警察」結成。50周年記念アルバム「乱破」発売中。本作のエンドロール曲『絶景かな』を劇場他で限定発売。 INFORMATION 映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』 7月18日より新宿K’s cinemaにて公開予定 http://www.dogsugar.co.jp/zk.html

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月16日号

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