ミシェル・ヨーが主演兼監督のケネス・ブラナーを「先見の明がある」と称賛!『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』で2人が対決…
“ミステリーの女王”アガサ・クリスティによる「名探偵ポアロ」シリーズを、『オリエント急行殺人事件』(17)、『ナイル殺人事件』(22)に続いてケネス・ブラナーが監督、製作、主演を務めた最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(公開中)。本作では、ブラナーvsミシェル・ヨーというアカデミー賞受賞コンビの対決を見ることができる。 【写真を見る】怪しすぎる!ミシェル・ヨー演じる”謎めいた霊能者”レイノルズ アカデミー賞脚本賞受賞のほか5度のノミネート歴を持つ名優にして名監督でもあるブラナーが演じるのは、世界一の名探偵、ポアロ。そんな彼が挑むのは“エブエブ”こと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)で、アジア人初のアカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー演じる自称“世界一の霊能者”レイノルズだ。 今回のポアロは、ハロウィンの日に子どもの霊が現れるという屋敷での降霊会に参加する。天候が悪化し、様々な超常現象が発生するなかで、ある人物が殺される。それは百戦錬磨のポアロにとっても不可解な殺人事件であり、やがて彼自身の命も狙われることに。 名探偵ポアロといえば、キッチリ整えられた口ひげが特徴的で、何事も左右対称でないと気が済まないという完璧主義者で偏屈な性格だが、持ち前の柔軟な頭脳と観察眼で数々の難事件を華麗に解決してきた。本作では「亡霊も悪魔も存在しない」と断言し、すべては科学、事実、知識によって証明できると主張するポアロが、レイノルズのペテンを暴くため、彼女が開催する降霊会に足を踏み入れたのだ。 ■「ベネチア建築の多くに見られる美しく麗しき崩壊のなかに、神秘的な感覚を創りだそうとしました」(ケネス・ブラナー) 前作『ナイル殺人事件』の撮影時は、7か月以上かけて豪華客船「カルナック号」を実際に建設し、本物のセットで撮影を行ったブラナー。本作については「実際のベネチアとスタジオで撮影した映像を組み合わせ、ベネチア建築の多くに見られる美しく麗しき崩壊のなかに、神秘的な感覚を創り出そうとしました」と、ハイブリッドな撮影方法を取ったことを明かした。 さらに「劇中の登場人物のように、これらの建物は水辺に面して仮面をつけているようなもの。その裏では、湿気による荒廃に対処していることが多いのです。そのための維持費がとんでもなくかかるので、建物が朽ちていく一方で、それをまったくもって美しいものであると見せる努力も見られます。そこで、実際にベネチアでそういった場所を見つけ、それを再現しようとしました」と撮影秘話を語った。 また、共演したミシェル・ヨーについては「ミシェルと一緒に仕事をするのはとても楽しかったですし、彼女が、当然与えられるべき輝かしい成功をついに収めたことを心からうれしく思っています」と彼女のオスカー初受賞を称えつつ「そしてこれは誰もが知っていることですが、彼女は長い間、様々なジャンルで秀逸な作品を世に送り続けてきました」と、ミシェル・ヨーの長年にわたるキャリアについてもリスペクトした。 ■「脚本には恐怖を感じ、あらゆる影の背後になにかが潜んでいるような感覚を覚えました」(ミシェル・ヨー) ミシェル・ヨーが演じたレイノルズは、戦争看護婦として従軍していた過去を持つ謎めいたキャラクターだ。彼女は自分が世界最高の霊能者であり、死者の霊と会話できると信じており、ハロウィンの夜に死んだ女性の声を聞き出す降霊会を開催する。 ミシェル・ヨーは予測不能なストーリーについて「脚本には恐怖を感じ、あらゆる影の背後になにかが潜んでいるような感覚を覚えました。ポアロが自分の正気を疑い始めるという点が、脚本上で最も巧妙な部分でした」という感想を述べた。 ブラナーについては「監督である俳優と仕事をするのは楽しいです。監督であり、指揮をするので、なにを要求するのかを教えてくれますから」と好印象だった。 「私からすれば、ケネスは先見の明があり、全体像を見ている人。俳優として、私たちはとても利己的です。でも、どうして自分がこの作品の一部になったのか、全体が一体となって動いていることを理解しなければなりません。それは誰も1人ではできないことです」と、俳優兼監督の二刀流であるブラナーのすばらしさを称えた。 最後にブラナーが、日本の観客に向けてメッセージをくれた。「我々の映画、そして映画全般へのたゆまぬ支援に、いつも感謝しています。日本のファンの皆さんは世界中で最も情熱的な人たちです。だから私は日本に行ってファンの皆さんと交流するのが大好きです。我々にとっても、皆さんの支援が大切です。これからもぜひ映画館に足を運んでください。皆さんの支援に心から感謝します」。 文/山崎伸子