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えっ!これホントにGLAYなの? 新曲『ROCK ACADEMIA』に感じた“明るさ”の正体――近田春夫の考えるヒット

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文春オンライン

『ROCK ACADEMIA』(GLAY)/『HELLO』(Official髭男dism) 【写真】この記事の写真を見る(3枚) ◆ 『ROCK ACADEMIA』を初めて耳にしたとき、えっ! これホントにGLAYなの? と思ってしまった。(ひとことでいうのなら)やけに屈託のない音だったからである。  過去のシングルすべてを聴いてきたのではないが、それなりに彼等の歴史を見渡せば、やはり“耽美”というのか、どこか、影のある印象が強い。  そういう世界とは、イメージ随分違うなぁ、という訳だ。  まずイントロでビックリした。いわゆる“オーケストラヒット”通称オケヒットと呼ばれる、80年代にトレバー・ホーンのプロデュースでお馴染みとなった、サンプリング音の“応酬!”だったのだ。ある意味今一番古臭い匂いのする音色ともいえるだろう。それを「あえて使っている」のは聴けば一目瞭然にせよ、こうした“遊び”は彼等の美学にはないものと決めこんでいただけに、結構面食らった。  ところでこんなご時世、音楽家は、勿論私を含めてだが、暇で暇でどうしようもない毎日だ。ただ、だからといって曲作りがはかどるのかといえば、それはまた別の話。なかなか気持ちの集中もつかず、只々無益に時を過ごしてしまう日々なのは俺がいい見本だ。  いかん、そんなことでは! と、一念発起し、老骨に鞭打ち、なんとか『 PANDEMIC~WHO is criminal ? ~ 』という曲を書き上げてみた。  結果コレが映像も含め、我ながら本気でいい出来なのよ、いやマジ。騙されたと思って、一度是非YouTube見てやって下さいませな、無料(タダ)ですんで。おっとドサクサに紛れて宣伝しちゃいましたァ(笑)。  閑話休題。  GLAYにしてもこんな時に新曲だ。きっと通常とは違う気合い/根性が入っていた!? のかどうかはわからないが、何だかこの曲の制作には、聴くひと達に元気を与えたい!といった強い動機のあるのを、私は感じてしまった。  まぁ、そのへんのことはあくまで個人的な推察/感想なので、適当に聞き流していただいて構わないのだが、この曲のサウンドの明るさというのが、近頃のjpopには稀なものなことだけは断言出来る。  私は、毎週毎週、こうして原稿を書くために新曲を聴いている訳だが、年を追うごとの傾向として、陽気な気分にさせてくれるjpopは本当に少なくなってきている、と実感するものなのである。  例えて申せば、夏休みといえば、かつては、スチャダラパーやらORANGE RANGEやらが、あの眩しい青空を見上げた時の心のざわめきを、見事音楽にして残してみせてくれた。そんなことがやたらと遠くに思えてしまうのも致し方のないのが2020年の夏なのだろうが、このサウンドに身を委ねると、今もどこかであの頃とつながっているんだなぁ……という思いにさせられる。それは悪くないものだ。  Official髭男dism。  聴けばそれとわかる、ピアノを中心としたサウンド体系は、ますます揺るぎないものとなった。ここからどんな展開をしてゆくのか、興味深い。 ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

近田 春夫/週刊文春 2020年9月3日号

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