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村上春樹「同じ表現者として、僕にもリアルによくわかります」ブルース・スプリングスティーンの言葉に共感

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TOKYO FM+

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。4月26日(日)の放送は「村上RADIO~言語交換ソングズ」と題して、原曲とは異なる言語で歌われた名曲たちを村上さんが紹介します。村上さんが選んだ「原曲とは異なる言語で歌われている楽曲」を、翻訳家でもある村上さんならではのユニークな解説で楽しめる55分間です。本記事では、後半5と「今日の最後の言葉」についてお話しされた概要を紹介します。

◆坂本龍一「ROMANCE」 坂本美雨さんのお父さん、坂本龍一さんの演奏です。スティーブン・フォスターの名曲「金髪のジェニー」を沖縄音楽風にアレンジして、オキナワチャンズが日本語、それも沖縄方言で歌います。題は「ROMANCE」になっています。 ◆Eartha Kitt「Sho-Jo-Ji (The Hungry Raccoon)」 フォスターの音楽の次は、今度は日本のトラディショナル、というか童謡「証城寺の狸ばやし」(作詞:野口雨情、作曲:中山晋平)を、アメリカ人の歌手アーサ・キットが歌います。これ、昔ずいぶん流行ったんだけど、最近はあまり聞かないので、若い人はたぶん知らないんじゃないかな。だからかけてみますね。とてもオリエンタルというか、奇妙なアレンジなんだけど、今聴いてみるとラウンジ風でなかなかいいです。 ちなみに、この歌のもとになった「證城寺(しょうじょうじ)」って、千葉県の木更津にあるんですね。行ったことがないですけど。 この歌詞では、ショジョージというのは、1匹のアライグマの名前になっています。アメリカには狸がいないので、アライグマにされちゃったんですね。このアライグマはいつもお腹を減らせていて、それで「コイコイコイ」って歌うんです。可愛いです。 ◆The Beatle Barkers「We Can Work It Out」(猫山さんと羊谷さんも参加しています) 次は極めつけというか、言語の垣根をあっさり跳び越えて歌われるビートルズの「We Can Work It Out(恋を抱きしめよう)」です。あまりの大胆さに文字通り言葉を失います。とにかく聴いてみてください。 ◆The Camerata Contemporary Chamber Group Eric Satie(「Gymnopedie #III #II #I」) これは「The Camerata Contemporary Chamber Group」という団体が1970年に出したエリック・サティ(Eric Satie)の作品集です。シンセサイザーなんかも取り入れているユニークな楽団で、僕もこの演奏が好きだったんだけど、なぜかまったくCD化はされていないみたいですね。オリジナルのLPで聴いてください。 今日の最後の言葉は、ブルース・スプリングスティーンです。彼が「明日なき暴走」をヒットさせて、ロック・スターになったあと、どんなことを思ったか? ちっと長いですが、聞いてください。 「明日なき暴走」のあとで僕が感じたのはリアルな責任感だった。自分が歌っているものと、オーディエンスに対する責任だ、僕はその責任と共に生きていかなくてはと思った。そして僕はそこに飛び込んでいった。真っ暗闇のなかに足を踏み入れ、あたりを見回し、そこで僕が知っているもの、僕に見えるもの、僕が感じることについて曲を書きたいと思った。僕らの足下から簡単には消え去らないものごとに結びつく、大事な何かを見つけたいと思った。 彼のそういう気持ち、同じ表現者としてと言うとおこがましいですが、僕にもリアルによくわかります。実は、僕はブルース・スプリングスティーンと同じ年の生まれなんです。ついでに言うと菅官房長官も同い歳です。しかしブルースと菅ちゃんと同い歳というのは混乱するというか、なんか戸惑いますよね。自分の立ち位置がよくわからなくなるというか……まあ、どうでもいいんですけど。 それでは今日はここまで。  (TOKYO FMの特別番組「村上RADIO」4月26日(日)放送は「村上RADIO~言語交換ソングズ」)

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