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コロナ禍でANA年収3割カットへ…2003年りそな銀行“大リストラ”との共通項【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】  全日本空輸(ANA)は労働組合に人件費削減策を提案した。従業員約1万5000人の多くを占める一般職の月例賃金を一律5%カットするもので、併せて厚生年金保険料の従業員負担も3割から5割に引き上げる。ANAはすでに冬の賞与をゼロにすることや賃金の減額などで、年収を3割減らす方針を労組に提案している。さらに今月14日から退職金を割り増しする希望退職の募集も開始した。従業員にとっては悪夢のような内容だ。  この一連の大リストラ策について、あるメガバンクの幹部は、「菅義偉首相が言う自助、共助、公助のうち、まず自助を求めているということですね。コロナ禍の影響による減便もありANAは毎月600億円前後の資金が出ていっている。1兆円規模の融資枠もあり、当座の資金繰りは問題ないが、現在の苦しい状況が続けば、いずれ資本を積み増す必要が出てくる。リストラはその資本供与に向けて条件整備と言っていい」と指摘する。 ■メインバンクと資本政策も協議中  実際、ANAはリストラ策と並行してメインバンクなどと資本政策について協議に入っており、返済順位が低いことで資本に組み入れることが可能な「劣後ローン」について、4000億円規模の供与を求めていると伝えられる。  だが、コロナ禍の世界的な拡大を受け、海外からの渡航が大きく落ち込む中、国際線の座席供給量は8割を超す減少が続いている。市場では、「国内線は観光支援策Go To トラベルもあり回復基調にあるが、国際線の戻りは見通せない。海外の航空会社と同じようにANAにも公的資金による支援が必要になる可能性もあろう」との声が聞かれる。菅首相が言う自助から共助、さらに公助へと進みかねないというわけだ。  そうした中で、「従業員に年収3割の削減を求める経営者側の提案は象徴的である」と先のメガバンク幹部は指摘する。銀行にも公的資金注入で従業員の年収が3割削減されたケースがあったというのだ。2003年に実質的国有化されたりそな銀行だ。この決断を下したのはJR東日本からりそな入りした故細谷英二会長だった。結果的にこの大リストラがりそな復活に道を開いたのだがこれには後日談がある。 「りそな銀行は大阪府の指定金融機関であり、再建に力を発揮した細谷氏は、大阪府知事に就任した橋下徹氏に表敬訪問した際、この年収3割減が企業再建の鍵だったと話した。機を見るに敏なりの橋下氏は、すぐさま自身の基本給を3割減らし、職員の給与カットに乗り出した」というのだ。年収3割減は従業員が受けられるぎりぎりのラインであり、再建の鍵を握る数値のようだ。 (小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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