有村架純インタビュー:亡くなった恋人から移植された心臓に、記憶は宿るのか。Netflixシリーズ「さよならのつづき」
2024年11月14日(木)からNetflixにて世界独占配信されたNetflixシリーズ「さよならのつづき」。心臓移植という難しいテーマで描く作品を演じた有村架純さんのインタビューをお届けする。 【写真】インタビューのアザーカットとNetflixシリーズ「さよならのつづき」ティザーカット
明確な答えがないからこそ、作品に魅力が生まれる
Esquire(以下、エスクァイア):亡くなった恋人の心臓を移植された人と偶然出会った場合、人は何かを感じるのか。Netflixシリーズ「さよならのつづき」では、非常に難しい役を演じられたのではないでしょうか。 有村架純さん(以下、有村):正直に言えば、今作出演のお話をいただいたときだけでなく、撮影中もずっと不安というか、怖さを感じていました。 移植された臓器が以前の記憶を引き継ぐというのは医学的なエビデンスはないですが、実体験として経験された方が結構いらっしゃるんですね。ただ、そこには人としてのジレンマが生まれますし、しかもそれは解消しようのないことでもあります。つまり、明確な答えがないんです。 エスクァイア:だからこそ、臓器を提供した側と提供された側は、お互いの情報を一切知らされませんからね。そんな不安の中で、どんなことを意識して演じられましたか? 有村:移植した相手というより、亡くなった恋人への強い想いを軸にすることです。それが、ストーリーに説得力を持たせる唯一の方法だと思いました。一歩間違えると暴走しかねない立場だと思うので、それをどう抑制するか、一方でどこまで振り切れるかということを、その都度監督と話し合いながら進めていきました。 エスクァイア:ご自身はもし好きなまま恋人と別れざるを得ない状況になった時、その気持ちを切り替えられるタイプだと思いますか? 有村:若い頃だったら諦めきれずに引きずったでしょうね。感情はその時々、状況によって左右されるので一概には言えませんが、今の年齢だと切り替えられるかもしれません。
エスクァイア:お仕事もお忙しそうですしね。有村さんはここ数年、多くの作品に出演されています。それも、今回のようなラブストーリーから社会派まで、実に幅広い役を演じていらっしゃいます。作品選びにおいてポリシーにしていることはありますか? 有村:脚本を読んだときに、自分の中でそのキャラクターを明確に想像できるかどうか? は、ひとつの判断基準になっています。「私だったらこう演じられるな」と役の可能性が広がったら、それまでに演じたことがない役でも挑戦したいと思っています。ただ、そうした役との出会いは巡り合わせだったりもするんですけどね。 エスクァイア:地上波、映画、Netflixと、選ぶ作品の選択肢が増えた今、俳優として思うことはありますか? 有村:さまざまな機会に恵まれた時代だと思います。そんな中、今後は人のためになるような動きをしていきたいと思っています。 今までは自分に矢印を向けて生きてきました。でも年齢を重ねる中で、自分のためだけに頑張るって限界があるなと感じています。人に喜んでもらえることが、ひいては自分の喜びにもなると思っています。 エスクァイア:その思いは30代になってからですか? 有村:20代は息つく間もなく作品に取り掛かっていたので、いわば夢中で駆け抜けたという感じです。でも私って、そこまでタフな性格じゃないんです。ひとつの作品に出て、それをリセットするのに本当は時間がかかるタイプなんです。 これからは、作品と作品の間にクールダウンする時間が必要だなと感じています。ひとつずつの作品とじっくり時間をかけて向き合いたいと思っています。 エスクァイア:この作品は、ハッピーエンドだと思いますか? 有村:個人的にはハッピーエンドというか、これで良かったと思える結末になっていると思います。ただ、いろいろ賛否両論があると思います。これを観たみなさんがどんな印象を抱くかはわかりません。それだけ複雑性をはらんだストーリーだと思いますし、それこそがこの作品の魅力なのかなと思っています。