エミレーツ航空の新A380、シャワー室も新デザイン プレエコ付484席
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対策のために中断や調整を余儀なくされた商品やサービスを復活させ、新たなサービスや機能強化を導入していく」。エミレーツ航空(UAE/EK)のティム・クラーク社長は、同社初のプレミアムエコノミーを搭載したエアバスA380型機の新仕様機を公表した際、こうコメントした。 【エミレーツ航空のA380新仕様機】 新仕様機は初登場のプレエコのほか、既存のファースト、ビジネス、エコノミーも刷新し、新シートを採用。座席数は4クラス484席(ファースト14席、ビジネス76席、プレエコ56席、エコノミー338席)となった。エミレーツのA380はこれまで、超長距離路線向けの3クラス489席、長距離路線向けの3クラス517席、ファーストクラスを設定しない長距離路線用の2クラス615席の3仕様があったが、超長距離仕様と同等の座席数で4クラス化を実現した。 2020年12月に受領した機体(登録記号A6-EVN)のほか、2022年までに受領する残り5機もプレエコを設けた4クラスの新仕様になる。クラーク社長は「十分な座席数が確保できるまでは、無料アップグレードとして提供する」としており、当面はエコノミー扱いで運航。投入路線は今後明らかにする。 本記事では、すでに報じたプレエコ以外のクラスを取り上げる。プレエコはメインデッキ(1階)前方の従来仕様でエコノミーだったエリアに設けており、ファーストとビジネスはアッパーデッキ(2階)に配されている。 ファーストクラスは既存仕様と同じ1-2-1席配列の14席。背の高いドアで幅が少し広くなり、プライバシーと快適性を向上させたという。従来と同じく個人用ミニバーや大型テーブルを備える。 メインデッキからアッパーデッキへの階段や、機内シャワースパのデザインなど機内の色使いを、アラブ首長国連邦の国樹「ガフ(ケジリ)」をモチーフとしたものに刷新した。 ビジネスクラスも従来と同じ1-2-1席配列の76席。フルフラットシートで、個人用ミニバーや収納スペースを設け、「ゲームチェンジャー」の愛称を持つボーイング777型機のビジネスと同様、プライベートジェットをイメージしたシャンパン色のレザーカバーと、木製の仕上げを取り入れている。 また、ファーストとビジネスの乗客が利用できるアッパーデッキ後部の機内ラウンジも、同じコンセプトでまとめている。 メインデッキのエコノミークラスは、3-4-3席配列の338席。人間工学に基づいてデザインされた新シートで、777の「ゲームチェンジャー」仕様機で採用したシートから進化したものだという。 快適性と機能性を損なわずに軽量化しているといい、燃費向上に寄与するとみらえる。個人用画面は13.3インチで、テーブルは木目調仕上げを施した。 メインデッキ前方のプレエコは2-4-2席配列で56席。2023年に就航予定のボーイング777Xの一部にもプレエコを設ける予定で、既存のA380の改修も検討している。
Tadayuki YOSHIKAWA