電気ケトルでやけど負う事故多発 「子どもの手の届かないところ」ってどのくらい?本人にはどう注意する?
発達につれ危険性の予測が可能に
電気ケトルを「(メーカーが)倒れても湯漏れしにくい製品にする」「(生活者が)そのような製品を選ぶ」というのはまさに“そもそも危険がない環境を目指す”方向性です。 一方で、すべてのリスクを事前に想定することはできないので、引き続き、子どもをしっかり見守ることも必要でしょう。電気ケトルのような危ないものは「子どもの手の届かないところに」ともよく言われます。これはどういう状態なのか、調べてみることにしました。 子どもの手が届く範囲については、内閣府の政府広報室が、実際に手が伸ばせる範囲と台(テーブルや棚など)の高さを足した長さとして「1歳児では約90cm、2歳児では約110cm、3歳児では約120cm」という目安を発表しています。 実際には子どもが床に置いた物などを踏み台にして、さらに広い範囲に手が届くケースもあり、これはあくまでも目安です。電気ケトルなどの家電について言えば、中には電気コードを引っ張って倒してしまった事例もあり、その長さも……。 成長にあわせて範囲がぐんぐん広がることに加えて、大人よりも好奇心が旺盛で危険性の予測ができないことを踏まえると、個別の対策はかなり難しいことがわかります。 厚生労働省の「保育所保育指針解説書」でも、1歳以上3歳未満児の時期は「短期間のうちに著しい発達が見られることや発達の個人差が大きい」とされます。 その上で、危険予測については、「子どもの手が届く範囲の物はその安全性などを点検し、危険な物は取り除き、安全な環境を確保するとともに、歩行や遊びの障害にならないようにしていく必要がある」とあります。 一方で、これが3歳児以上になると、「危険な場所、事物、状況などを知ったり、その時にどうしたらよいか体験を通して身につけたりしていく」とあり、成長につれこうした能力も身についていくことがわかります。 また、「安全を気にするあまり過保護や過介入になってしまえば、かえって子どもに危険を避ける能力が育たず、ケガが多くなることがある」とされ、子どもの事故は情緒の安定と関係が深く「温かいつながりをもち、安定した情緒の下で」指導し、場合によっては「厳しく指示したり、注意したりすること」も必要とのこと。 その際は、「子ども自身が何をしてはいけないか、なぜしてはいけないかを考えるようにすることも大切」と指摘されています。 「子どもから目を離さない」、その上で危ないものは「子どもの手が届かないところに」。それでも注意の目から抜け漏れてしまうことについては、日々、根気よく子どもに伝え続けるしかなさそうです。