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南極行くので会社辞めます  隊員仲間は地元の同級生 ぼちぼち南極(8)

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 南極観測隊はさまざまな会社や組織の人が参加するプロ集団だ。大学や研究機関の研究者はもちろん、気象庁や国土交通省といった行政の職員、企業からの派遣が多い。高校教員や大学院生といった同行者もいる。その中には「公募」という枠組みもあって、会社を辞めて参加した隊員もいる。小学校からの同級生の誘いが縁となった隊員も。公募で南極に来た人たちの話を紹介したい。(気象予報士、共同通信=川村敦)  ▽後悔、残したままにしたくない  「もう一度、南極に行きたい」。2018年9月、出張先のビジネスホテルの部屋で仕事をしていた夜に、ふっとそんな思いがよぎった。現在、昭和基地で活動中の第61次観測隊員佐藤貴一=さとう・たかかず=さん(42)は2回目の観測隊参加だ。  前回の経験は楽しい思い出だった。が、心には後悔も残っていた。気付けば、国立極地研究所のウェブサイトに掲示された隊員公募のページを見ていた。  初めて参加したのは12~14年。第54次隊員として、発電機制御を担当し、越冬を経験。明治時代に南極を探検した軍人、白瀬矗=しらせ・のぶ=と同じ秋田県出身だったことも影響してか「死ぬまでに一度、地球のはじっこに行ってみたかった」と振り返る

 当時は、産業用機械の制御を担うエンジニアとして金沢市の企業に勤務していた。仕事の現場で一緒になった他社の人が経験者で、隊員に公募という仕組みがあることを知る。会社に相談したところ、休職して参加することを許してくれた。  安全を守るため、仲間に「何やってんだ」「やめろ」と声を荒らげてしまったことが引っ掛かっていた。「強く言いすぎた、なんであんなこと言っちゃったのか。次に行くときは…」という思いが、帰国してからもずっとくすぶっていた。  貴一さんには妻と子2人の家族がいる。「応募しなかったら後悔する。後悔したまま生きたくない」。考え抜いた末に妻に相談。「いくつになっても挑戦する姿勢を子どもに示すのもいいんじゃない」と後押ししてもらえた。ところが、会社は「許可しない」。結局、退職して応募する道を選んだ。  第61次隊では、環境保全として基地で出た廃棄物の処理と持ち帰りを担当し、越冬する。「花はない仕事だが、それより南極へ行きたい気持ちが上回っていた。仕事を辞めたのが本当に良かったのか、とは思っている。しかし、来たからには観測隊のいろんな人から刺激を受けて帰りたい」

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