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深センで「コロナ離婚」急増、背景に中国の社会変化

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東方新報

【東方新報】中国・深セン市(Shenzhen)で離婚が急増中だ。広東省(Guangdong)婚姻登記サイト上での離婚届予約受付状況をみると、5月19日から6月17日までの間、深圳市坪山区(Pingshan)民生局婚姻登記処、龍崗区(Longgang)民政局婚姻登記処など市内10か所の婚姻登記処でことごとく予約満杯状態なのだ。  広東省では5月1日から離婚登記証はQRコードで受け取れるようになったが、そのための手続きに一か月前の平日にインターネットサイトから予約をいれなくてはならない。だが、一日の処理数に上限があるため、6月17日までほとんどの登記処の予約が一杯になっているという。  ネット上では、離婚したくても離婚手続きの予約が入らない、といった不満の声も流れている。深セン市羅湖区(Luohu)民政局はこうした声にこたえて、目下、離婚手続きの処理数の上限を拡大するなど対応しているが、「コロナ離婚」ブームは今後しばらくおさまりそうにない。  羅湖区民政局関係者によれば、今年3月に同民政局で結婚登録したカップルが489組なのに対し、離婚届を出したカップルは238組。4月は結婚が420組に対し、離婚が455組で結婚数を上回った。  離婚急増の原因は、新型コロナウイルス感染症のまん延で外出できず、夫婦が狭い家の中で一日中顔を突き合わせるために、ささいな事で感情に亀裂が入ってしまうケースが増えているという。2月、3月は感染の恐怖も我慢していたが、感染状況が鎮静化するにつれ、離婚届を出し急ぐ現象がおきたようだ。南方都市報の統計では、深セン市の例年の離婚総数は同時期の結婚総数の三分の一を超えていない。だが今年4月は、深圳市全体の離婚数は、結婚数の84%にまで増えたという。多くの離婚希望者は、2、3月ごろ、すでに離婚を望むようになっていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、5月にまで延期したという。  だが、この深セン市の離婚ラッシュは、新型コロナウイルス感染症の影響とだけはいえない面もある。もともと中国の離婚数は増加傾向が顕著だった。2003年から中国の離婚率は15年間連続で上昇し続けており、2017年は全国の結婚総数1010.8万組に対し、離婚は380万組。2019年は結婚総数947.1万組に対し、離婚が415万組となっている。これは結婚適齢期人口の全人口に占める割合が減少していることや、経済発展、人口流動の拡大など中国の社会変化が大きく、中国の伝統的な婚姻の概念に変化が生じていることなどが背景として指摘されている。  両性の平等化、個人の自由の重視といった価値観が広がり、家族関係も従来ほど強固な絆でなくなってきた。こうした感覚は若い世代の「閃婚閃離」「閃離閃再婚」(訳:すぐに結婚し、離婚し、また結婚を繰り返す)現象からもうかがえる。深セン市のような若い出稼ぎ労働者が多い都市はもともと離婚率が高く、都市別では、深セン市は全国で3番目に離婚率が高かった。こうした深セン市の特徴が、新型コロナウイルス感染症の流行でより顕著になったということだろう。  22日から始まった全人代(全国人民代表大会)では中国初の民法典草案が提出されたが、これには離婚冷静期の条項が設けられている。離婚届を民政当局に出したあと30日以内の双方のどちらかが離婚したくなくなったら、離婚届を撤回できるという内容だ。この民法典が承認されれば、コロナ離婚を食い止めることができるのか。だが離婚を撤回した方が幸福な人生であるのかどうかは、誰にもわからない。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

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