ワインにできなくてもパンなら生かせる 凍霜害に遭ったブドウ、カンパーニュとシュトーレンに 数量限定販売
長野県東御市のコミュニティcafe「まる屋」の小林麻美さん(50)が、凍霜害に遭ったワイナリー(ワイン醸造所)「シクロヴィンヤード」のブドウを活用したパンを作った。カンパーニュとシュトーレンの2種類で、ワイン醸造に使えない実を譲り受け、ブドウ由来の酵母をパン生地に練り上げた。同ワイナリーの飯島祐子さん(58)は「パンという形になってうれしい」と話している。 【写真】霜で新芽が枯れたブドウの木=5月
凍霜害は5月に発生
シクロヴィンヤードでの凍霜害は5月10日に発生。新芽が枯れ、メルローなど赤ワイン系品種は実ができたが、十分に成熟しなかったためワイン醸造には使えなかった。そこで、付着した酵母を増やし生地に混ぜることで、パンの風味付けなどに活用することにした。
「地元のものを」出会った頃の会話から
飯島さんと小林さんは近所同士で、知り合って10年ほどになる。小林さんが県外から移住してきた際、飯島さんの畑を訪れ「地元のものを使ってパンを作りたい」と話したという。それを覚えていた飯島さんが、提供を申し出た。
地産品詰め込んだパンに
酵母は、乾燥させた実を地元産の蜂蜜や水に浸すことで増やした後、県産の全粒粉などに混ぜて生地を作り、焼き上げた。カンパーニュは爽やかな酸味があり、うまみが強い。シュトーレンは東御市産巨峰なども使い、地元農産物を詰め込んだパンになった。
小林さんは「凍霜害に胸を痛めていたが、飯島さんのおかげでおいしいパンができた」と喜んだ。まる屋の今季の営業は14、15、17日の午前10時~午後4時。いずれも税込みでカンパーニュが1200円、シュトーレンが2800円。数量限定。