ブロッコリーが老化防止に良いってホント⁉︎ 知られざる「若返り物質」を医師が解説
昔からブロッコリーは、健康野菜ランキングや、デザイナーフーズなどにおいて上位に位置づけられていました(デザイナーフーズ・プロジェクトは、がん予防に効果のある食品をランキングするアメリカの研究です)。たしかにこの野菜は、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンC、葉酸、カリウム、鉄、βカロテンなど豊富な栄養素を持ち、がん予防に効果のあるスルフォアランを含んでいることでも知られています。 その栄養素リストに、NMNも追加すべきだということです。ブロッコリーが健康野菜として特に脚光を浴びている理由がはっきりとわかり、私としても「ああ、やっぱり!」と納得が深まる思いです。
ほぼトマトにしかない重要な栄養素「リコピン」に注目!
栄養素豊富な野菜といえば、トマトもそうです。ただし、野生種のトマトはまずくて、栄養価も高くありません。農耕を始めた人類が品種改良を重ねることによって、現在の大きくて真っ赤なトマトになったのです。
トマトの持つ栄養素は、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどさまざまですが、特に有名なのは、あの赤い色のもととなっている色素、リコピンです。βカロテンの仲間のカロテノイドで、ビタミンEの100倍もの抗酸化作用があることで知られています。 リコピンは、もともとはトマトが酸化から自らの身を守るために作り出した成分ですが、それは同時に、人類の細胞を守ることにも役立てられてきました。しかもこの成分は、トマト以外ではスイカくらいからしか摂ることができません。ただしスイカだと夏期限定になってしまうため、「リコピンはトマトから摂る」と考えておいた方がよさそうです。 トマトを食べない人は、リコピン欠乏症になる可能性があります。つまり、トマトが嫌いだと、リコピンという貴重で有益な成分を摂取することができず、生きていく上で損をするとも言えます。田舎では、「ひとつ嫌いなものがあると、三倍損をする」と言われていました。リコピンの効用があきらかになるにつれて、そのことが科学的にも証明されつつあるということです。 リコピンには、抗酸化作用のほかにも、生活習慣病やがんの予防、血糖値の改善、動脈硬化の予防、花粉症の緩和などさまざまな効能がありますが、それが筋肉増強にも関与しているということをご存知でしょうか。そのことを発見したのは、実は私が組んでいた研究チームです。 リコピンを摂取させたラットと、摂取させなかったラットとで、それぞれに運動をさせることで比較実験を行なった結果、摂取させた方が筋肉モリモリになったのです。これは、リコピンに筋肉増強作用があることを証明した世界初の発見でした。抗酸化作用を持つリコピンが、思いもかけなかった筋肉増強作用をも兼ね備えていたことは、植物成分の多機能性の好例のひとつです。抗酸化作用や抗菌作用などを持つアントシアニンが、なぜか眼精疲労の予防にも役立ったりすることと似た現象ですね。 本文は『予防医学の名医が教える すごい野菜の話』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集しています。 画像提供:Adobe Stock