ブロッコリーが老化防止に良いってホント⁉︎ 知られざる「若返り物質」を医師が解説
「野菜は体にいい」「野菜を食べると健康になれる」 そんな言葉をよく聞くけれど、具体的に何が体に良いのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。実は、野菜の持つ成分は、薬に例えることができるぐらい、体に影響を及ぼす効能があるのです。そこで今回は、一石英一郎医師による著書『予防医学の名医が教える すごい野菜の話』(飛鳥新社)から、野菜で健康になる食生活のヒントを少しだけお届けします。 ◇ ◇ ◇
ブロッコリーで老化防止⁉️注目の若返り物質「NMN」
平均寿命が伸び続けている現代において、一定年齢以上の人々にとっては、「できることなら若返りたい」という欲求も、切実なものになっているはずです。もしも、老化に抗い、若返りを促すような物質があるとしたらどうでしょうか。しかもそれが、ある野菜に豊富に含まれているとしたら? ことの発端は、二匹のマウスを使ったある実験でした。一方は老齢の個体、そしてもう一方は若い個体です。驚くべきことに、その実験では、年老いたマウスが若いマウスから「若返り物質」とでも呼ぶべきなにかを体内に取り込み、みるみるうちに老齢のマウスが若返りを果たしたのです。 その物質の正体を探って世界中の研究者たちが探究を進める中、あるチームがついに問題の物質、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)にたどり着きました。その後、動物でもヒトでも、NMNを摂取することで、あきらかな若返りの兆候を示すことが続々と判明していきました。 マウスを使った実験では、老化に伴う体重増加の減少、エネルギー代謝の改善、網膜の視細胞の機能向上、骨密度の増加といった結果が得られ、ヒトを対象とした臨床試験でも、インスリン感受性の大幅な改善(それは、糖尿病の予防や改善につながります)や、筋肉の再構築を促す遺伝子の働きの向上などが見られました。 高齢の人がNMNを服用すると、俊敏な身のこなしが回復するといった結果も報告されています。アルツハイマー型認知症や心不全などの疾患にも効果があるとされています。まさに若返りです。 ではそのNMNは、何を食べれば補給できるのでしょうか。肉類や魚介類などには、あまり含まれていません。野菜や果物には比較的多く含まれていますが、最近になって、実はブロッコリーがこのNMNをとりわけ豊富に含んでいるということがわかってきました。