スタイリスト飯島朋子のフレンチシックを作るもの。
メンズ服にベーシックアイテムーーー。これまでトラッドファッションをこよなく愛してきたスタイリスト飯島朋子に、年齢を重ねて改めて気がついたというフレンチシックの魅力、そして3つのエッセンシャルアイテムを聞く。
――飯島さんがフレンチシックなスタイルを好きになったきっかけはありますか? インスピレーション源になっているものはあるのでしょうか。 自分好みのフレンチシックを考えた時、"パリジェンヌスタイル"や"パリっぽさ"というのはあまりしっくりこなかったんです。昔から、どちらかと言うとヨーロッパなら伝統を重んじるイギリスの方が自分に合っている気がして。ただ、アンリ・マティスやフランスで活動していたパブロ・ピカソの美術館に行ったときに彼らが創造したアートはもちろんのこと、白シャツにチノパンといった彼らの気楽な着こなしに惹かれた自分がいたんです。 それまで強かった「フレンチ=可愛らしい」というイメージが、もっと「ラクでいい」に変わって、それがフレンチシックの良さになって。どのアイテムを着るかというよりはフランスにあるその心意気が素敵だなと思うようになってから、好きになり始めました。 ――マティスやピカソなど芸術家で、しかも男性の着こなしに惚れたという話もまた飯島さんらしいなと思いました。 ボーイッシュな女性がいてもいいじゃん、と寛容なのがフレンチスタイルの良いところですよね。"ベーシック"の捉え方の幅も広いなと感じています。その人がベーシックと思えばそれでいい。誰も気にしないから、自分らしさを貫ける。そういう部分も含めて、年齢を重ねれば重ねるほどフレンチシックが好きになりました。 今は、主要都市のパリより避暑地の南仏のムードの方が好きで、綺麗なシャツをピシッと着るよりもペンキがついているようなくしゃくしゃのシャツにぐっときます。気を張るのではなく、ハードルを下げていく楽しさがある。そういうところですかね一番好きなところは。