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【今、伝えたいこと】先輩に見た「ファンが多い理由」 女子ゴルフの“新社会人”宮田成華が目指すプロの姿

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THE ANSWER

連載「Voice――今、伝えたいこと」第21回、22歳女子プロゴルファーのメッセージ

 新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。  日本全体が苦境に立たされる今、スポーツ界に生きる者は何を思い、現実とどう向き合っているのか。「THE ANSWER」は新連載「Voice――今、伝えたいこと」を始動。各競技の現役選手、OB、指導者らが競技を代表し、それぞれの立場から今、世の中に伝えたい“声”を届ける。  第21回は、女子ゴルフの宮田成華(なるは、スリーボンド)が登場する。レギュラーツアーは開幕戦から7月2週目のニッポンハムレディスクラシックまでの1試合を除き、計18試合が中止に。少しでも早い開幕が待たれる中、昨年11月のプロテストを4度目の挑戦で合格した22歳の宮田は、コロナ禍の女子ゴルファーの現状を明かし、ギャラリーに届けたいプロの姿を語った。  ◇ ◇ ◇  胸の鼓動は今も覚えている。友だちと4人で乗った新幹線。東京から四国を目指し、和気あいあいと時間を過ごした。到着したのは、大王製紙エリエールレディスオープンの試合会場。中学生の少女は、初めて見る華やかなツアーの景色に胸を躍らせた。 「今も覚えています。メモを持ちながら、ずっとグリーン周りに座って見ていました。目の前で選手たちが次々とプレーしていって、それを見ているのが面白かったです」  宮田は中学時代の記憶を呼び起こした。人が米粒のように見えるほど遥か先の場所からショットでピンを攻める。絶体絶命に思える位置から寄せる魔法のようなアプローチ。放たれたパットは、次々とカップに吸い込まれていった。プロの技に魅せられた瞬間だった。  憧れを抱いた少女は努力を重ね、上を目指した。10歳から始まったゴルフ人生で「一番大変だった」と振り返るのがプロテスト。年に一度のチャンスで3度の不合格を受けた末、昨年11月にやっとの思いで合格を掴み取ったが、それまでは苦汁をなめた3年間だった。 「初年度も受かると思って臨んだのでショックでしたが、3年目はラストチャンスという気持ちでいました。周りの選手が受かっていたから、なんとしても通らないといけない。『落ちちゃいけない』『絶対に落ちられない』という気持ちで余裕がなかった。今考えたら、受かるわけがないなと思う精神状態でしたね」  昨シーズンまではプロテストに合格していなくても、単年登録(1年間限定のプロ登録)をした上で予選会を通過すれば国内トップのレギュラーツアー出場権を得られた。だが、日本女子プロゴルフ協会に正会員の「プロゴルファー」として登録してもらうにはテスト合格が必須。単年登録者だった宮田は劣等感を持つこともあったという。 「ライセンスを持っていないことに対して凄く悔しい思いが強かったです」。コースに行くと、正会員なら福利厚生として優待料金で施設を利用できることもある。些細なことでも「ああ、自分はプロじゃないんだな」と痛感。「テストはいつ通ったの?」「まだ通ってないんです」。アマチュアとプレーすると、聞かれることが多い。「通ってないと言うたびに凄く悔しかったですね」。今では苦笑いで振り返る経験は、成長へのバネになった。

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