阪神の超変革を支える金本―掛布のホットライン!
金本新監督が推し進めている阪神の「超変革」の勢いが止まらない。5月1日、甲子園で行われた阪神―横浜DeNA戦もビッグゲームだった。阪神は、敗戦濃厚の7回に1-6から5点差を追いつき、8回に大和の決勝打で借金生活に陥る危機を脱出したのだ。その7回も、江越が歩き、陽川、代打・原口という若手が連打。ラミレス監督の継投ミスにも助けられ、ザガースキーから連続押し出し四球を拾うと、鳥谷、ゴメスの連続タイムリーで、ゲームを振り出しに戻したのである。 「よくひっくり返した。若い選手が作ったチャンスを鳥谷、ゴメスの主力が返す。若い力と経験ある主力で取った5点」と、金本監督も素直に褒めた。 ドラフト1位の高山、3年目の横田というフレッシュな1、2番コンビの大活躍から始まった「超変革」も、高山は疲労が蓄積して調子を落とし、横田も相手の研究などで勢いを止められてきた。だが、今度は入れ替わりに、ファームで4番を張っていた陽川が、先の横浜DeNA戦で決勝2ラン、育成から支配下登録されたばかりの原口、ドラフト6位の板山と、次なる“二の矢”の若手が存在感をアピールする。板山は1日のゲームでは初めて1番でスタメン起用され、プロ初安打が初タイムリーとなり、原口は29、30日のゲームで続けてスタメンマスクをかぶって攻守において結果を残した。 「板山は、ぶっちゃけスタメンの試合に菅野、井納と、いいピッチャーばかりとの対戦でヒットが打てなかった。なんとかもう一回チャンスをと、少しでも打順が回るように(1番で使ったが)うまく打点を挙げた。育成から来た原口には、巨人戦から十分な戦力としてチームを救ってもらっている」 金本監督の決断力と実行力には恐れ入るが、この若手の勢いを支えているのが、今季から2軍監督に就任している掛布監督の指導力と、金本監督との間にあるホットラインだ。 実は、育成だった原口が支配下登録され、即1軍デビューとなった27日の巨人戦の翌日に、掛布2軍監督が金本監督の携帯に電話を入れている。「原口の件、ありがとうございます」と、掛布2軍監督が礼を言うと、金本監督は「掛布さんの推薦がなければ、ありませんでした。こちらこそありがとうございます」と、答えたという。 原口の支配下登録は、その前日、金本監督が2軍のゲームを視察に訪れた際に掛布2軍監督と会談。 「誰がいいですか?」の問いに掛布2軍監督が原口を推薦したことが発端になった。甲子園球場に戻った金本監督は、その足ですぐにフロントに直談判、原口を支配下登録することを即決している。これまでの阪神では見られなかったスピード感と実行力。強い組織の原則である。