只見線維持費、年6.7億円 福島県10年分試算、国交付金で負担圧縮へ
JR只見線の県管理区間(会津川口ー只見)の2025年度から10年間の維持費が当初想定の年間3億円を上回り、年平均で6億7000万円に上る見通しとなったことが17日、県の試算で分かった。物価高騰の影響などに加え、新たに老朽化に備えたトンネル、橋梁(きょうりょう)の安全対策が必要になったことが理由。県は国から有利な交付金を受けられる鉄道事業再構築事業の認定で負担額を年間4億1000万円に圧縮できるとしており、沿線自治体を含めた負担軽減につなげる考えだ。 23年10月に全線で運転を再開した只見線は、施設の維持管理と運行事業者を分ける「上下分離方式」を導入。管理者の県や沿線17市町村が維持費を負担している。再開当初、年間3億円程度と想定していた維持費は、物価高騰や人件費の上昇などの影響で本年度当初予算の段階で4億9000万円に膨らんだ。 さらに県が再構築事業の申請に向けた実施計画策定を進める中で、専門機関からの指摘でトンネルのひび割れや膨張、橋梁の腐食などについて安全対策が必要となることが判明。施設の長寿命化や省力化も併せて進めた場合、25年度以降は維持管理費が大きく増える見通しになったという。ただ申請の準備を進める再構築事業の認定を受ければ、維持管理費のうち年間2億6000万円を国の交付金などで賄えるため、実質的な県や沿線自治体の負担は本年度を下回る見通しだ。 今後は只見線の活性化に向けたオリジナル観光列車の導入に向けても県や沿線自治体に負担が生じる予定。県は、国庫補助や野岩鉄道の車両改修で実績のあるクラウドファンディングの活用などで可能な限り負担軽減を図る考え。車両の設計や製造などに要する期間を考慮すると、導入時期は早くても28年秋以降となる見込みだ。 試算については18日に開く県地域公共交通活性化協議会で関係者に示し、国への早期の申請を図りたい考えだ。
福島民友新聞