韓国、政局混迷で「景気下振れリスク強まる」-企画財政相が警告
(ブルームバーグ): 韓国の崔相穆企画財政相は11日、同国では景気の下振れリスクが強まりつつあると指摘。尹錫悦大統領による先週の「非常戒厳」宣布に伴う混乱が通貨に及ぼす影響を軽減すべく努めていると表明した。
崔氏は国会の公聴会で、「下振れリスクが一段と強まりつつある」と発言。「われわれはスムージングオペレーションを通じて、外国為替市場の安定化に最善を尽くしている。こうした措置は他国では一般的なものだ」と述べた。
韓国は尹大統領の「非常戒厳」宣布を巡る失態を受けて、政治的混乱に見舞われている。国会が戒厳令の無効を議決し、大統領が戒厳令の撤回を余儀なくされたものの、株式相場は以前の水準に回復しきれておらず、通貨ウォンは対ドルで一時、世界的な金融危機にあたる2009年以来の安値に沈んだ。
野村ホールディングスのエコノミスト、パク・ジョンウ氏は11日、政治指導部を巡る不確実性が数カ月続くという最悪のシナリオでは、韓国の経済成長は0.2ポイントの打撃を受ける可能性があると指摘。
「その場合、韓国銀行(中央銀行)が一段の措置を講じて景気を刺激する必要があるだろう」と話した。
韓国銀行は先月、2カ月連続で利下げを実施した。インフレとの闘いを経て、ようやく政策転換を図った。
同中銀は政策決定後に公表した予想で、今年の同国経済成長率を2.2%、2025年は1.9%とし、従来見通しから下方修正した。次回は2月に予測を更新する予定。
崔企画財政相は10日にイエレン米財務長官と電話会談し、経済・金融情勢について協議したと、米財務省が発表した。「共通の民主主義的価値観の基に築かれた」強力な関係を再確認したとしている。
原題:South Korea Flags Economic Risks as Political Turmoil Rumbles On(抜粋)
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Sam Kim, Katia Dmitrieva