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わが子だけ良ければいい?貧困への無関心がもたらすもの

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日経DUAL

SDGsの一番目に掲げられている目標は「貧困をなくそう」だ。貧困というと、遠い国の話と考える人も多いかもしれない。しかし本当にそうなのだろうか。国内の貧困問題を研究する東京都立大学の阿部彩教授に、日本の現状、特に子育て家庭の貧困について聞いた。 ●食事は2日に一度、1玉のうどんを親子3人で 日経DUAL編集部(以下、――) 日本における「貧困」とは、どのような状態を指すのでしょうか。 阿部彩さん(以下、敬称略) 貧困は人々が尊厳を持って、人間らしい生活をする権利が守られていない、深刻な人権侵害に当たります。定義は大きく分けて二つあり、人が自分の所属する社会で「当たり前」の生活を営めない状態を相対的貧困、何も食べ物を得られず栄養失調に陥るといった、生死に関わる状態を絶対的貧困と呼びます。日本で問題になっているのは「相対的貧困」です。  食費、光熱費、教育費など「当たり前」の生活にかかるコストは、経済成長とともに上昇します。例えば開発途上国では、ランドセルは必要ないかもしれませんが、日本の子どもがランドセルなしで登校したら、学校側が問題視するでしょう。いじめや不登校につながり、本人が教育の場から排除されてしまう恐れすらあります。日本では数万円のランドセルが、教育を受けるのに必要なコストなのです。 ―― 「相対的」貧困という言葉に、あまり深刻さを感じない人も多そうです。 阿部 それは大きな間違いで、日本の貧困は今や、今日の食べ物にすら事欠く人が多数存在するレベルに陥っています。特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、職を失ったシングルマザーが2日に1度しか食事ができない、1玉のうどんを親子3人で食べたといった話を、支援者から数多く聞きました。  内閣府によると、子どものいる家庭の5%程度が、過去1年間に電気代や水道代などの公共料金を支払えなかった経験があります。料金滞納してすぐに電気や水道が止められてしまうわけではありませんが、全国の子どもの20人に1人が、蛇口をひねれば水が出る、夜は明かりをつけるという生活が脅かされている状況にあります。人数も1クラスに1~2人はいる計算で、決してまれなケースとは言えません。さらに沖縄県では、この割合が10人に1人に上がります。

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