もはや3台すべてが伝説! ナナサンRSから始まった空冷911の「RS」ヒストリー
964 Carrera RS(1992)
カリスマ性では初代に劣るかもしれませんが、930シリーズでついに登場しなかったRSモデルということで、ポルシェファンが待ちかねたように飛びついたモデル。また、911や930よりもシャシーが強化されたことで、260馬力/6100rpmというパワーも難なく取り込んだ生粋のスポーツカーにほかなりません。その証拠に、生産台数も初代を上まわる2276台と、人気の高さをうかがわせます。 とはいえ、チューンの内容はさほど過激なものではなく、RSのセオリーともいえる軽量化はノーマルから、マイナス120kg(ただし乾燥重量)、パワーアップはわずか10馬力アップにとどまります(エンジンパーツの公差範囲をよりシビアにしたのみといわれています)が、軽量化されたフライホイールによる回転上昇、それに伴って室内に聞こえるエキゾーストは簡素化された遮音材も手伝って、じつにレーシーな唸り! これぞRSの醍醐味とする評価は少なくありません。 また、ノーマルから40mm下げられた車高、LSD、そしてターボと同サイズのキャリパー&ブレーキローターなど、足まわりが徹底的にチューニングされ、4/6点式ロールケージを組み合わせれば即座に耐久レースマシンへとアップグレード可能なほど。ワンメイクレース用のカップカーにしてもこのRSをベースとしており、内装や保安部品をオミットし、ロールケージを溶接で組み入れているくらいしか差異は見られません。 なお、カタログにはトップスピードは260km/hに達し、0-100km/hは5.4秒と記載されています。 初代と違ってホモロゲーションモデルとはならなかった964カレラRSですが、後に3.8リッターへとスープアップされた3.8RSRというレーシングモデルのベースとなっており、またカップカーに変身してワンメイクレースを戦うなど、レン・シュポルトの名に恥じないモデルだったといって差しつかえないでしょう。