【北陸新幹線“延伸”どうなる】来週にもルート決定も…指摘される“複数の懸念点” 京都の地下水への影響は?大量の残土処理地は?工事車両による渋滞は? 与党PTと知事ら意見交換会
北陸新幹線の関西への延伸計画は、現在、京都市内を通る3つのルートで検討が進められています。一方、計画に向けては、地下水や費用といった面で懸念も。 そんな中、きょう13日、京都府知事らが与党チームのヒアリングに臨みました。
■北陸新幹線延伸ルート決定へ 与党PTと京都・大阪が意見交換
13日朝、行われたのは北陸新幹線の延伸計画をめぐる与党プロジェクトチームと京都・大阪との意見交換会。年内でのルート決定を目指している与党側は現在、京都市内を通る3つの案を示しています。 1つ目はJR京都駅を横断する「東西案」、2つ目は縦断する「南北案」、そして3つ目がJR桂川駅周辺に作る「桂川案」です。
中でも西脇知事が心配しているのが・・・ (西脇隆俊・京都府知事)「京都の地下水の水量と水質への影響の懸念を申し上げました。いずれも大部分が地下に作られる予定で、地下水への影響が懸念されています」 京都の地下には琵琶湖に匹敵するほどの水が蓄えられていて、古くから食文化や伝統産業など京都の暮らしを支えてきました。
■京都の酒造業界からも懸念の声
危惧しているのは自治体だけではありません 江戸時代から続く京都の酒造メーカー「月桂冠」では、酒蔵に井戸水を使っています。地下50mからくみ上げた地下水はミネラル分が少なく、もろみをじっくり発酵させるのに適しているといいます。 (「月桂冠」秦 洋二専務取締役)「(Q.地下水はどんな存在?)水が良くなければ、いいお酒ができない。伏見の酒蔵はたくさんあるが、いい井戸水・地下水があったから、ここにたくさんの酒蔵が集まっている」
酒造りの命とも言える地下水は京都に欠かせない存在です。 (「月桂冠」秦 洋二専務取締役)「今回は我々も経験したことがない。地下50m(の工事)ということなので懸念はしている。工事によってかれてしまう・汚染されてしまうとか、そうすると300年のお酒造りを辞めないといけない事情にもなりかねない」 また今月2日には、京都府の酒造組合などが酒造りに利用する地下水に影響を及ぼさないよう求める要望書を府と市に提出しています。 (「月桂冠」秦 洋二専務取締役)「地下水というのは、長い目で見なきゃいけない。工事直後に影響がなくても、5年後10年後に影響が出る場合もある。もし工事が始まれば水質に影響がないかというのを定期的に観察して、影響を判断していただきたい」
■複数の懸念点…どうなる? 来週にも延伸ルート決定へ
また、想定工期は最長約28年で、当初の15年から大幅に延び、物価高の影響もあり建設費も今年の試算で最大5.3兆円に膨らむ可能性があるとされています。 ほかにも延伸ルートの約8割がトンネルであることから、大量の残土の処分地の問題や工事車両による長期間にわたる交通渋滞についての懸念もあります。 与党プロジェクトチームは自治体などの意見を踏まえ、来週にもルートを決定したいとしています。 (『newsおかえり』2024年12月13日放送分より)