【チャゲアス全曲サブスク解禁】「SAY YES」「YAH YAH YAH」のメガヒットの裏にある、CHAGE and ASKAの冒険…“変革と実験の時代”を担った知られざる楽曲たち
安住を拒むように挑戦を続けた
このフェーズを経たCHAGE and ASKAは、前述したUK録音の『SEE YA』からASKA流の魔術的コード×メロディーの真骨頂である「DO YA DO」、そしてメガヒット期への布石となる永遠の名曲「太陽と埃の中で」を経て、「SAY YES」以降の時代へと突入していく。 その後の活躍は多くの方が知る通りだが、そうしたなかでも静謐なアレンジと渦巻くようなコード進行を織り交ぜた「river」(1996) など、彼らの音楽的冒険は留まるところを知らない。 初のセルフプロデュース作『NO DOUBT』(1999) ではまさかの挑発的なインダストリアル・ロック「higher ground」や、アンニュイなダウンテンポ/トリップホップ「熱帯魚」を生み出すなど、彼らは2009年の無期限活動休止に至るまで、安住を拒むように音楽性を拡張し続けた。 また、本稿では「Trip」以前の音楽性には触れていないが、例えば、2010年以降のアンビエントR&Bと共振するような「オンリー・ロンリー」(1985) や「Key word」(アルバム『TURNING POINT』(1986) 収録)、「WALK」と並んでプログレッシヴな「風のライオン」(アルバム『RHAPSODY』(1988) 収録) といった楽曲の存在も見逃せないだろう。 今回のサブスク解禁により、彼らの唯一無二の音楽性やキャリアが、少しでも多くの音楽ファンに知られていくことを願いたい。 文/TOMC
TOMC