「ベテラン医師のほうが安心できる」と思いがちだが…実は仕事の腕前は勤続年数とあまり関係ないという〈衝撃的な真実〉が判明【心理学者が解説】
組織変革の要!?耳に痛い指摘はベテランにおまかせ
たとえどんなに正しいことでも、若い人が言うのと、年配者が言うのでは、相手の受け止め方はずいぶん変わってきます。 「うちの会社のこういうところはどんどん改革していこう」 「悪いことを見て見ぬふりをするのはやめよう」 「みんなで声をかけあいながら仕事をしよう」 若い人がそんなことを提案しても、鼻で笑われてオシマイです。「若造が何をえらそうに」と思われるだけ。経営者や重役にとって耳が痛いことは、年配のベテランにまかせましょう。 もし会議で発言をしたいのなら、「○○さん、言ってください」とあらかじめベテランにお願いしておくのがよいでしょう。そのほうが受け入れてくれる確率もアップします。 オーストラリアにあるクイーンズランド大学のマシュー・ホーンゼイは、116名の大学生に、職場の批判をする人のシナリオを読んでもらいました。ただし、そのシナリオの一部は実験的に変えてあります。あるグループでは、批判をする人が、「入社7日目」と書かれていて、別のグループでは「入社19年目」と書かれてあったのです。 それから、職場を批判する人についての印象を尋ねると、まったく同じ批判をしているにもかかわらず、入社7日目の人の意見は悪く評価されましたが、入社19年目の人の意見は快く受け入れられたのです。 年齢が若いうちには、基本的には何もしないのが正しい姿勢。 どうせ何を言っても受け入れてもらえませんし、煙たがられるのがオチですから、できるだけ静かにしていたほうがいいのです。 会社を改革したり、組織の変革を求めたりするのは、自分がもっと年配になってからにしましょう。それまでは大人しくしていて、会社にどういう問題があるのか、どんなふうに変革すればいいのかをじっくりと考える時間に当てるのです。 自分が年をとるのを待つのはイヤだというのなら、やはりベテランに言ってもらったほうがいいですね。勤続20年、30年の人の言葉は、かなり重く受け止めてもらえますから。 若い人にとっては理不尽だと思われるかもしれませんが、年齢というものは発言に重みを持たせる重要な要因。どんなに頭がよかろうが、どんなに素晴らしいアイデアや改革案を示そうが、若いうちには聞いてもらえません。 内藤 誼人 心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表 慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
内藤 誼人