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ついに実験開始「デジタル人民元」は何を目指すのか

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青か赤か  リブラと対峙するデジタル人民元

 第一層のデジタル通貨はグローバルで共通化するが、第二層で動くシェアリングエコノミーなどのサービスは、国や地域ごとにローカライズして載せることができる。すなわち、世界の誰かが作ったサービスが優れていれば、それを他の地域でも応用することが可能であり、作者の知らないうちに世界に広がっていくかもしれない。このとき、一つのブロックチェーン技術を基盤としていれば、そこを流れるデジタル通貨は世界共通で揺らがない。  このように、ブロックチェーン経済においてデジタル通貨は経済の土台を形作る。リブラを基礎としたブロックチェーンが世界で使われるようになれば、「青いカーペット」で世界が埋め尽くされる。デジタル人民元を基礎としたブロックチェーンが世界で使われるようになれば、「赤いカーペット」で世界が埋め尽くされる。  いま北京には、従来型の技術とブロックチェーンの理想的な協力関係がある。デジタル人民元に適用されるのは中央集権型のモデルであって、分散型のブロックチェーンではない。その一方で、ブロックチェーン関連の特許取得数において中国は世界のトップを走る。果たして集権型と分散型のいずれを目指すのだろうか。  中国の研究者が好んで引用するのが、三国志演義序文の一節である。それは、「およそ天下は分かれて久しければ合し、合して久しければ分かれる」という理を著す。大きな変革が起ころうとするときには、中央に集まろうとするエネルギーと、外側に分散しようとするエネルギーが同時に生じる。それらを巧みに操った者こそが天下の覇者となる機会を得る。  おそらく通貨の覇権にも、この理があてはまる。国内の通貨体制を中央集権型で統治しながら、国際通貨としての拡張性にはブロックチェーンも活用する。一見すると相矛盾するように見える二つの手綱を操りながら、国内経済と国際社会の両方を視野に入れて戦略を練る。その意味では、中国の策は巧みであり、老練さを備えている。

岡田仁志 (国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授)

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