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コロナ禍で初の中止となった「コミケ」とはそもそも何? 初めて体験するとしたら?

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マグミクス

コミケとはなんぞや?

 漫画家のmatchさん(@ninjamatch)がTwitterで公開している、レポートマンガ『#レポっした』の出張版描き下ろしエッセイ。 【マンガ】初のコミケ参加、心の揺さぶられ方がハンパない! 本編を読む  2020年5月開催予定であったコミックマーケット(コミケ)は、初の中止に。「一度、どんなものか見てみたい」という方に、コロナ禍が終わったあと、コミケを体験するコツを語ってくれました。 * * *  こんにちは、matchです。  皆さんは「コミックマーケット」、通称「コミケ」をご存知ですか?  SNS(主にTwitter)ではもちろんのこと、近年ではニュースでも盛んに取り上げられるようになり、なんとなく聞いたことがある単語だと思います。  参加したことがない方でも、間接的に「本を売るイベント」「年に2回ある」「アニメの限定グッズを売っている」「叶姉妹が参加したらしい」「コスプレイヤーさんが見られる」といったオタクの全てを集めたイベントなんだろうな、という印象ではないでしょうか。だいたい合ってます。  2020年のGWにも開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響であえなく中止となってしまいました。せっかくなのでこの機会に、コミケとは何ぞやというのを簡単にご紹介したいと思います。 ●コミケの概要  1975年に企画・発足されたコミケは、以後45年続く日本最大の同人誌即売会イベントとなりました。 ●同人誌って?  同人誌というのは、同じ志あるいは趣味を持った人らが資金を出し合い制作する本のことです。つまるところは自費出版になります。自分でお金という製作費を出費して、一冊の本を作り上げます。  同人誌の始まりは明治時代までさかのぼります。文学などを志すものたちが発表の場を求めて作られたそうですが、やがて時代が進むにつれ、世間がアニメとマンガ文化に染まっていくと内容もそれに移り変わってゆくのでした。  また出版形態も大人数で制作された集団サークルから、ひとりで全てを執り行う個人サークルでの活動が主流になるなど、自費出版の技術が上がっていくにつれて、その活動の在り方も様変わりしていきました。  書店で出回っているような商業の書籍と比べると、同人誌のページ数は平均的にとても薄いものとなります。そのため同人誌の別名に「薄い本」という形容があるくらいですが、なかには100ページ、200ページを優に超えた分厚い本を発行するサークルもあるので、その限りではありません。  それらの濃度に問わず、本を作り上げていることには変わりないので、同人誌を作っている人たちは、皆一様に作家であり、編集者であり、出版社であるのですね。 ●同人誌即売会って?  意味合いとしては「フリーマーケット」と同じなのだそうですが、ここでいう即売会の定義は自費出版物を頒布、配布する集会のことを指します。もちろんコミケ以外にも数多くの即売会が存在しております。  即売会はその主催が設定した「ジャンル」に、準じてある創作物を頒布するのが決まりです。一例として……。 ・コミケ (同人誌であればなんでも) ・文学フリマ(小説・評論・ノンフィクションなど) ・COMITIA (自主制作誌のみ) ・M3 (音楽、メディアミックス中心) ・デザイン・フェスタ (オリジナル作品、表現のみ) ・ワンダーフェスティバル (オリジナル、または許可を得た二次創作の造形物中心) ・特定のアニメ漫画の二次創作オンリーイベント (該当する作品のパロディ作品中心) などなど。  電車、ミリタリー、写真、音楽、特撮、コスプレ、アイドルなど、現在ではサブカルの全てにイベントがあるため、即売会は列挙にいとまがないです。 ●多様すぎる発表の場所  コミケの理念として代表的なものに「コミケットはプロ・アマチュアを問わず、誰もが表現者となり、多様な作品が生まれ続ける文化」というものがあります。表現の多様性を担う受け皿として、コミケは数十万人が同人の表現を楽しむコミュニケーションの場となりました。  オリジナルのマンガ・小説、アニメ・マンガのパロディ、成人向け表現、評論、考察、写真集、音楽、動画作品、民芸品にいたるまで、およそ創作のすべてを網羅しているのがコミケ最大の特色と言えます。  しかし、分母が大きくなるにつれて、著作権の侵害に伴う問題も増えていきます。正規の権利関係者が制作した作品などの誤解が生まれるような作品への起訴や警告、またガイドラインが設けられ、同人と商業における一定の線引きがしかれることとなりました。  コミケ発足時では参加者全員が、同人というものが一体なんであるかを理解したうえで頒布し、またそれを手に取っていたのですが、規模が拡大するにつれ、同人とは何なのか。商業と同人の差異が分からないまま手に取ってしまう参加者が近年急増していると見受けられます。  こういった問題は、一般的な商業でも起こっています。  2011年の例を挙げると、「面白い恋人事件」があります。北海道の銘菓である「白い恋人」を元に、大阪の旧よしもとクリエイティブ・エージェンシーが「面白い恋人」というパロディ菓子を作りました。笑いを重んじたつもりだったのでしょうが、パッケージデザインが酷似していたために、「白い恋人」と間違って買ってしまう購買層が増えてしまい、最終的には損害賠償事件と相成ってしまいました。  1日開催だった第1回コミックマーケットでは約700人だった参加者が、3日間(96以降は4日間開催)となり、参加者総数はのべ75万人になりました。  45年という歴史を経て、コミケは「面白い恋人事件」と同様、商業に影響を及ぼしてしまうほど、非常に大きな存在になったのです。  その影響を追い風にしようと、なかには創作をむしろ推奨する企業やコンテンツもあります。ただし、これはかなり限定的な話なので、すべての企業では決してその限りではなく、その多くが黙認といった形をとっています。  コミケは全ての表現を受け入れてくれる場ですから、その表現の在り方については否認も容認も、人の数だけあるということなのでしょう。大変に多種多様な形態が入り乱れている状況と言えるでしょう。

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