「巧妙化する詐欺」から親の財産を守る5つの備え、「特殊詐欺被害者」の約78%は65歳以上の高齢者だという
■「老後資金への不安」から詐欺師の標的に 誤解しないでほしいのは、親が投資をすること自体は個人の選択であり、決して悪いことではなく、否定するものではありません。 ただ、老後資金への不安を持ち、判断力が鈍ってきた高齢者は、詐欺師の標的になりやすいのも事実。彼らは、今後に高値がつく「未公開株」、将来、経済成長する「外国通貨」、「自然エネルギー」の権利、といったもっともらしいキーワードを用いて投資に誘導します。
子どもが親のためにできる対策としては、普段の会話のなかで「お父さん、テレビで話題になっているけど、こんな勧誘なかった? 必ず儲かる投資なんて、ないからね」と探りを入れてみる。 親が投資をしているとわかったら、念のため、投資先の業者の信用性や、金融庁に金融商品の登録をしているかなどを調べましょう。 最近はSNSでの投資広告が詐欺の入口になり、取引もネットで行われます。帰省のときにでも、「怪しいメールや広告が来ていない? チェックしてあげるよ」とスマホやパソコンのメールやWeb履歴を調べましょう。
その際に、フィッシングメールは迷惑フォルダに移動するよう設定しておく。前述のロマンス詐欺も、LINEやSNSをチェックすれば怪しい人物を発見できるでしょう。 こうした親との会話やリサーチを通して、親のお金に対する不安や関心、行動を知り、理解してあげることは、恩返しになります。 万が一、詐欺に遭っていたとわかったならば、できるだけ早く、傷が浅いうちに対処しましょう。 ■「防犯カメラ作動中」のステッカーだけでも効果あり
【「防犯カメラ作動中」のシールを玄関に貼る】 親が一戸建てに住んでいる場合、詐欺や悪質な訪問販売、強盗の侵入を防ぐためには防犯カメラを設置するのがおすすめ。 実際に取り付けるのが理想ですが、「防犯カメラ作動中」のステッカーを門扉や玄関口に貼るだけでも一定の犯罪抑止効果は得られます。ステッカーはホームセンターや100円ショップでも手に入ります。 特に犯罪者に狙われやすいのが、1人暮らしの高齢の女性です。母親だけで暮らしている場合、“独居”と気付かれない工夫を。
表札は名字のみか、亡くなった父親など男性の名前を連名で入れる。あるいは、家族全員の名を記した表札があれば、それを使うのもいいでしょう。 玄関口に会社名のプレートを貼るのも一案。私が担当したあるお宅では、息子がかつて起業し、会社の所在地を実家にしていたのですが、廃業後もプレートはそのままに。おかげで悪質な訪問販売が訪れることは一切なかったそうです。 ステッカー、表札、プレートだけでも親を守る一助になります。
田中 克典 :ケアマネジャー