ホンダが完全新設計の「V型3気筒エンジン」を発表。2輪車初の“電動過給機付き”は何がスゴイ?
ホンダは、二輪車として世界で初めて「電動過給機」を搭載したV型3気筒エンジンを新開発。11月5~10日にイタリア・ミラノで開催されたEICMA 2024にて、内燃機関(ICE)の可能性を追求したコンセプトモデルを初公開した。 【写真】ホンダが開発した新エンジンをいろんな角度から確認!(全15枚)
大型二輪車向け新エンジンの特徴とは
ホンダは11月5日、大型二輪車向けに開発中の水冷75度V型3気筒エンジンを発表。イタリア・ミラノで11月5~10日にかけて開催されたEICMA 2024にて、コンセプトモデルを初公開した。 新エンジンはスリムでコンパクトな設計を追求し、二輪車として世界初の「電動過給機」を採用している。電動過給機の主な利点として、エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールできるため、低速からでも高いトルクを発揮し、スムーズな加速を実現。また電動過給機はモーターで直接駆動するため、過給が始まるまでに遅れ(ターボラグ)がなく、即座に過給を開始できる利点がある。 さらに特徴として、エンジンやミッション、サスペンションなどの重量物を重心の近い位置に集める、いわゆる“マスの集中化”を実施。エンジンルームが狭い二輪車でも設計に高い自由度を持たせたほか、インタークーラーを不要としたことで、軽量化にも貢献している。 ホンダの新エンジンは、内燃機関(ICE)の新たな挑戦として位置付けられている。新エンジンの燃費については具体的なデータは公開されていないが、電動過給機を採用することで、効率的な燃焼と高いトルクを実現し、燃費性能の向上が期待できるという。 電動過給機付きV型3気筒エンジンは、ホンダの「FUN」モデルへの適用が予定されており、量産化に向けた開発が進められている。
2種の電動二輪車が間もなく登場か
なお、ホンダはEICMA 2024にて電動二輪車のコンセプトモデルを2種同時にワールドプレミアした。 ホンダ初の電動スポーツモデルとなる「EV FUN Concept」は、中型排気量相当の性能を持つネイキッドタイプ。電動らしい低振動と、流麗で近未来的なデザインが特徴だ。四輪車と同じ規格の急速充電器CCS2に対応し、急速充電も可能。街中での使用に適した航続距離100km以上を想定しているという。2025年の市販化を予定しており、正式発表が楽しみだ。 もう一方のスクータータイプは「EV Urban Concept」というモデル。アーバンの名の通り、都市型モビリティとしてのデザインやコネクテッド技術を搭載している。こちらは固定式ではなく、自社開発のバッテリーパックで運用する仕様だ。 ホンダは2024年を電動二輪車のグローバル展開元年と位置付けている。今後は2026までを市場参入期、2026年以降を事業拡大期とし、2030年までにグローバルで電動モデルを30機種投入する計画を進めていく。
文=KURU KURA編集部 写真=ホンダ