<甲子園交流試合・2020センバツ32校>仙台育英、目配りの副主将 けが克服、ベンチ入り
15日から後半戦が始まる2020年甲子園高校野球交流試合。出場選手の中にはプレー中のけがを克服して試合に臨む選手がいる。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 第4日第3試合に登場する仙台育英(宮城)の吉原瑠人捕手(3年)は19年春の東北大会でバントを狙った際、ボールがバットをかすって顔に直撃。右の眼窩底(がんかてい)を負傷した。「当たった瞬間、しばらく野球できないだろうなと覚悟した」 6月から7カ月間は治療に専念。同年夏の宮城大会や甲子園、その後の秋の大会もベンチの外から見守るだけだった。「みんなと野球をやりたい」と思ったが、須江航監督(37)と話し、「あせらず治すことに専念しよう」と切り替えた。 そうした中、昨秋に就任した副主将の仕事が転機になった。主将や練習メニューを管理するグラウンドマネジャーを補助しつつ、その傍らで多くの仲間と話し込んだ。ベンチから外れた選手、けがをした部員、思い通りにいかず落ち込む仲間……。「同じように悩んでいる人の考えを聞けた」ことで、復帰後はチームのためにプレーしようと心に決めた。 けがはほぼ完治したが、日差しが強いと投球が見えにくいことも。慣れるため多くの球を受ける練習を重ね、夏の宮城独自大会には出場がかなった。須江監督は「いろいろな悩みがある中で、常に周りに声をかけていた」とねぎらう。 登録選手が例年の大会の18人から20人に拡大された交流試合。3年生の投票で「チームを支えてくれた」と残り2人に選ばれ、背番号19を受け取った。甲子園では「3年生部員40人、みんなの思いを背負ってプレーする」と意気込む。【滝沢一誠、写真も】