プロレス界秋の注目株“なにわのルチャドール”晴斗希とは? 三沢光晴とNOAHに魅了されて憧れを抱く【週刊プロレス】
大阪のプロレスシーンにおいて、時代を担うと大きな期待を寄せられているレスラーがいる。菊池悠斗、晴斗希、松房龍哉の3人だ。阪上雄司会長時代に大阪プロレスが開講していた「ちびっこプロレス教室」に通っていた上に、時期こそ異なれど3人とも道頓堀プロレスでデビューした。いまでこそ違う道を歩んでいるが“とんぼりトリプレット(三つ子)”ともいうべき存在。大阪プロレスの先輩である原田大輔に誘われる形で菊池がRATEL’S(ラーテルズ)に加入して本格的にNOAHに参入したが、彼よりも一足早く10・20品川で潮崎豪の保持するZERO1の世界ヘビー級王座に挑戦するチャンスをつかんだのが晴斗希だ。この春からNOAHの「LIMIT BREAK」ブランドに限定参戦するようになったわけだが、本人の言葉を織り交ぜながら晴斗希のプロレス人生に迫ってみる。(文中敬称略) 【写真】潮崎豪から3カウント奪取! 大番狂わせを起こした晴斗希の必殺技「変型エル・モメント・デ・ムエルテ」
晴斗希が初めてプロレスに触れたのは、彼が小学3年生の時に開催されたNOAH大阪大会。もともと引っ込み思案なタイプで、屋外で遊ぶことも少なく、特に趣味もない子供だったという。そんな晴斗希少年を心配して、両親は何か興味を持つことを見つけてあげたいと考えていたそうで、ピアノのレッスルやテニススクールなど、いろんなことを経験させた。しかし、これといって続くものはなかった。初のプロレス観戦も自身から言いだしたことでなく、両親に連れられて出かけたものだった。 それまでテレビでもゲームでもプロレスに触れたことはなし。だが、晴斗希少年は初めて見たプロレスに、「大人同士がこんなに本気で闘う世界があるんや」と衝撃を受けた。最初は大して乗り気でなかったプロレス観戦だったが、試合が進むにつれ、目を輝かせながらリングを見つめていた。やっと夢中になれるものが見つかった。そこから晴斗希のプロレス人生がスタートしたわけだが、それは一筋縄ではいかないものだった。 ハッキリとカードは覚えていないという。「三沢さんと小川さんが組んでたのかなあ……。そこに潮崎さんがいて……」という淡い記憶から、2007年7月6日の大会だったと思われる。カードは三沢光晴&小川良成&橋誠vs田上明&齋藤彰俊&潮崎豪。 「チョップとエルボーを打ち合うナマ音を初めて聞いて、子供ながらに衝撃を受けた」と振り返る。「今でも三沢さんの試合のビデオを見て、それを自分のモチベーションにしていったり」というから、よほどの衝撃だったのだろう。 三沢光晴、団体としてはNOAHのファンになった晴斗希少年だったが、全国の団体だけに大阪大会は限られる。いろんな団体を見るようになっていく中で見つけたのが大阪プロレスだった。 「初めて大阪プロレスを見に行ったのは、まだフェスティバルゲートに常設会場があった頃。当時はまだ月1回ぐらいしか観戦に出かけなかったんですけど、覚えているのはなんば(道頓堀)に移ってからですね。その時に、“この選手、かっこいいな”って思ったのがツバサさんでした」 そこからツバサに夢中になり、「メキシコにもプロレスがあるんや」「メキシコではプロレスのことをルチャ・リブレっていうんや」「いつかメキシコに行けたらいいなあ……」と、憧れを抱くようになっていった。(つづく) 橋爪哲也 <プロフィル> 晴斗希(はるとき)/本名・非公開。98年12月14日生まれ、大阪市出身。高校時代は器械体操に打ち込む。卒業後、単身メキシコに渡り、2018年3月3日(現地時間)ダイナミック・フライ、ブラック・ストゥルエンド相手の3WAYマッチでデビュー。帰国後、道頓堀プロレスに所属する。菊池悠斗との生え抜きコンビで2020年、2022年の「道頓堀最強タッグキング」に優勝。WDWシングル&タッグ2冠王者に輝くも、2023年9月の同団体10周年記念大会でタッグパートナーである菊池に敗れてシングル王座から転落。2024年3月からNOAHに限定参戦。現在は岩崎孝樹とのコンビでWDWタッグ王座を保持する。得意技は、エル・モメント・デ・ムエルテ、クルス・メヒカーノ。180cm、85kg。
週刊プロレス編集部