シャボン玉も木製に、母親目線の脱プラ玩具
コロナ禍で、子どもとの時間を持て余す家庭が増える中、玩具の巣篭もり重要が伸びている。そうしたなか、若い世代から人気を集めているのが木製の玩具や雑貨を製造販売するKukkia(クキア、大阪市)の製品だ。シャボン玉キットなど「プラスチック製品」として馴染みのある玩具を木に置き換えた製品などが人気を呼び、国内外から注文が急増している。SDGs(持続可能な開発目標)の重要性を意識する中、クキアが重視するのは母親目線だ。(寺町幸枝)
玩具を通じて伝えたい言葉
木製玩具の扱いは、時に面倒なことも多い。例えばシャボン玉道具も、プラスチックであれば、液体を入れる器や道具が濡れたままでも問題ない。しかし木製のものは、使い終わったらきちんと片付けなければ、すぐ痛んでしまう。「木製シャボン玉セットを初めて見ると皆さん驚かれますが、きちんと使い終わってから洗って乾かせば、プラスチックのものと変わらず長く使用できるんです」とは、同社広報の池上ちえさんの言葉だ。 木製玩具を使うことで、「ものを大切にする重要性を、自然と子どもたちに伝えることができる」という視点はまさに母親目線だ。木を切り、加工して、おもちゃの形になっても、湿度に合わせて大きさが変わる木製の玩具や雑貨は、身近な道具であると同時に、自然や環境について考えるきっかけになる。
SDGsを意識した「木育」
2007年の海外の展示会デビュー以来、クキアの提案する製品は、日本に伝統的に伝わる木製玩具がもつ、染料がたっぷり塗られ、はっきりとした色味や風合いのものとは一線を画す。クキアのブランド「gg*(ジジ)」も「kiko+(キコ)」も、木目が分かるように薄めに塗られた塗料と、インテリア雑貨店やブティックがこぞって並べたがるほどのデザイン力が特徴だ。
開業当初から、世界供給可能な生産量と品質を確保するため、生産地としてベトナムを選んだクキア。多数ある木材の中でも、おもちゃ作りに適している硬さや艶、密度を考慮し、ヨーロッパのブナの木を中心に素材調達をしている。 現在10人にも満たない、女性だけの企業であるクキア。立ち上げ当初は、若い女性社長ゆえに、「国内外で偏見を持たれ、苦労も多かった」とは社長の羽場和代さんは振り返る。