【独占】ロッテの大型新人・藤原恭大が開幕直前に語った知られざる苦悩と中日・根尾へのメッセージ
ーーこの2か月間でつかんだものは? 「バッティングで言えば、追い込まれてからは、少しバットを短く持っていますが、そのカウントでは逆方向を意識することが大事だとわかりました。プロでは追い込まれてから引っ張るイメージなんか持っていると、まず打てない。打率1割で終わりますよ」 そして藤原は「ほかは絶対的なものは何もない」とクビを振った。彼はアピールポイントを聞かれると「足」と「守備」と答えてきた。 ――守備、足は十分に通用するという監督の評価もあるけど。 「全然です。そこをアピールしていこうと思いましたが、特別できたことは何もないんです。簡単そうに見えて、やってみるとプロは本当に細かい。いくら速くても技術はアマチュアです。でも守備と走塁は100%を目指します。調子の波が少ないところですから」 味方のピッチャー一人一人のスピード、決め球やカウント球を知り、配球を読みながら、打球方向を予測してポジショニングしなければならない。もちろん、打者のデータを頭に入れ「打者の力量も把握しておく必要があります」という。瞬時に頭にインプットすべきことが多すぎて、まだそこまで追いつけていないのが実情。 「右、左へのスピード、球際の勝負強さ、ゴロへのチャージの遅さや、送球の乱れとか、まったく何もできていません」 マリンの風とも“お友達”にならねばならない。オープン戦では予測落下地点から強風で20メートル以上も戻された打球に追い付けずにヒットにしてしまったこともある。 「マリンの最上部から上に出た打球は戻ってきます。一番、難しいのがライナーです。ここはとくに伸びるので、スタートのタイミングが難しい」 でも、考えてみれば、まだ18歳なのである。 ロッテの高卒ルーキーのスタメン出場となると、1965年の山崎裕之以来、54年ぶりとなる。何もかもパーフェクトにできているとすれば、そっちの方がおかしい。 ――プロで貫きたいものは? 「自分の打って、守って、走るという、スタイルは変えたくない。そこを変えてしまったら終わりだし、周囲に否定され変えられるような選手になった時点でスケールの小さい選手になって終わりです。そうなってしまうと、努力をしても上へはいけません」 ーー藤原の代名詞はスピードだ。 「プレーのスピードって足だけじゃないと思う。スイングスピードもそうだし、肩もそうだろうし、それがなければ僕自身、ここまでこれていない。この小さな体で他の選手よりも抜けているところを大事にしていく。でもスピードには怪我をしやすいというリスクがあります。スピードと怪我をしない体。そこを両立しないと」 ――ここまで故障せずにこれたじゃない? そう切り出すと藤原は「故障?プロでどこも悪くない人なんていないと思う。公にはなっていないですが…」と口ごもった。 無理をして結果的に怪我が長期化することはチームに迷惑をかけるが、「あそこが痛い」、「ここが痛い」で、すぐ休むような選手はプロでは大成しない。元阪神の金本知憲氏や広島の田中、菊池に代表されるように成功している選手は怪我に強い。