「現代自動車・起亜を狙ったトランプ普遍関税…現地生産増やせば韓国経済に警告灯」
ドナルド・トランプ米次期大統領の「普遍関税10%」が狙うのは米国の自動車産業の復活であり、輸入車関税で現代自動車・起亜の米国での現地生産拡大が避けられない場合には、韓国国内の工場の閉鎖による産業空洞化と大量失業の発生が韓国経済を脅かす問題として登場する、との懸念が出ている。 10日、ナイス信用評価のキム・ミョンス代表取締役が自社ホームページに掲載したコラム「トランプ時代の韓国の産業戦略」によると、トランプによる米国内での自給自足産業体制の構築と関連し「現実的な目標は、米国の自動車ブランドの遊休設備200万台分の再稼働」だ。米国は年間1700万台の自動車需要があるが、そのうち自国内での生産は1000万台で、残りは主に日本、ドイツ、韓国から輸入している。自国内での生産1000万台のうち、GM、フォード、ステランティス(フィアットクライスラーとPSAの合併企業)の生産は480万台にとどまり、彼らが保有する遊休設備だけで200万台に達するということだ。 同コラムによると、トランプとしては4年の任期の間に、中西部地域の有権者に「MAGA」(「米国を再び偉大に」という選挙スローガン)を体感させられる政策は「自動車の遊休設備の稼動」であり、その場合「韓国、日本、ドイツの自動車産業に非常灯が点くことになる」と分析された。もし輸入自動車に10%の関税を課し、自国ブランドが価格競争力を確保することになれば、ピックアップトラックの販売で延命してきた米国の自動車業界がリンカーン、キャデラック、ビュイック、トーラスを前面に掲げ、セダン市場でも日本、ドイツ、韓国のブランドと競争することになるという説明だ。 また、2023年には韓国の対米貿易黒字(440億ドル)の4分の3が自動車産業で創出され、対中国貿易黒字の減少分を相殺したが、「対米自動車輸出が下り坂になれば、韓国経済のすべての指標に一瞬で警告灯が点る」と懸念した。米国が輸入車に関税を課す場合、現代自動車・起亜は100万台(韓国国内生産)に達する米国市場への輸出を減らし、米国現地生産を拡大するしかなく、韓国国内工場の閉鎖は韓国経済を脅かすことになりかねないということだ。米国に30万台の生産能力工場を建設する際に必要とされる資金は約1.5~2兆ウォン(1590~2120億円)だという。 キム代表は「軍艦建造関連の造船業を代案としなければならない」と助言した。トランプ氏はこれに先立ち、韓国企業との造船協力を期待していると述べた。ただ、キム代表は「米国軍艦産業に参加する良い機会だが、問題は韓国の生産能力だ。韓国の造船ビッグ3はすでに2.5年以上の受注残高を確保しフル稼働体制にあり、軍艦建造に参加する余力がない」と評価した。韓国の造船会社ビッグ3が米国の軍艦建造事業に参加するには、競争力の弱化で南海岸に放置されているような中型造船所を買収・合併し、これらの造船所ヤードで米国が望む軍艦の建造に乗り出すならば、韓国国内の自動車産業の衝撃を緩和できると提案した。 チョ・ゲワン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )