袴田巌さん、蝶ネクタイ姿で約9年ぶり「聖地」来場 姉ひで子さん「ボクシングは青春そのもの」
1966年(昭41)年に静岡県の一家4人が殺害された事件で再審無罪が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(88)が29日、約9年ぶりに東京・後楽園ホールに来場した。ボクシングジム会長らで構成される日本プロボクシング協会から招待され、姉ひで子さんと浜松市から新幹線で移動し、同日に開催されたM・TジムとKG山ジムの合同興行「パイオニアオブファイトVol9&大和魂18大会」に足を運んだ。拘禁症状のある袴田さんはリングには上がらなかったものの、蝶ネクタイとジャケットを着用して来場した。 車いす姿で来場した袴田さん、ひで子さんは記者会見し「やっと死刑囚ではなくなりましたからね。そのお祝いに(後楽園ホールに)行くと朝に言ったら喜んで蝶ネクタイをしたり、背広を着てきました。本当はリングにも上がると言っていたのですが。これも拘禁症状だと思います。これが最後(の来場)という訳ではなく、今日は(無罪確定後)初めてなものですから。機嫌の良い時には連れてきたいと思います。ここまで来られたのは良かったと思います」と説明した。 袴田さんにとって15年3月に後楽園ホールで試合観戦して以来、約9年ぶりの「聖地」来場となった。ひで子さんは「9年前は病院から直接(後楽園ホールに)来ましてね。病院で外出の時に『袴田巌、後楽園に帰る』と喜び勇んできたのです。本当に喜んで最後まで観ました。機嫌が良い時も悪い時もあります。(袴田さんにとって)ボクシングで鍛えてきたから頑張れたのだと思う。巌はボクシングしか知らない。ボクシングを愛していることは間違いないと思います。30歳までボクシングをやっていて青春そのものだと思います」と感慨深げに話した。