激闘王・八重樫2回TKOで10か月ぶり再起飾るも「情けない」。照準階級変更も
大橋会長も、「ちょっと(スーパーフライ級にしては体格が)小さいかもな。本人とも相談してみるけど、フライ級の方がいいのかもしれない」と、2階級上げての日本人初の4階級制覇計画を1階級上げてのフライ級での返り咲き計画に軌道修正する考えがあることを示唆した。 フライ級には連続KOの日本記録に並んだWBC王者の比嘉大吾(白井・具志堅)、同じく好ファイターのWBO王者の木村翔(青木)と、日本人王者に強打者が揃っていて、八重樫とのマッチメイクが実現すれば注目のカードになることは間違いない。八重樫が「記録より記憶のボクサー」であることを考えれば4階級制覇にこだわる必要もないのかもしれない。フライ級での挑戦になるにしても、次戦は本人が納得し、周囲の不安を解消するような試合を見せなければならないだろう。1ラウンドの動きの悪さは、ブランクを経ての恐怖心だったのか、それとも反射神経の衰えだったのか。八重樫が非常に客観的に自己評価のできているところが救いだが、次戦で、その点をハッキリとさせておく必要がある。 ただ復活のリングに立つまでのプロセスに“光”は見えた。 「試合が決まってからの1、2か月は充実していた。楽しかった。こういう日々が好きなんだ、と改めて確認できた。そこは収穫。リングに上がれるって幸せなこと。この気持ちを力に変えれるようにしたいし、35歳だけど、まだまだ伸びしろがあると思っている。次にはつながった。ここはゴールじゃない」 ベテランと言われるボクサーにとって重要な「戦う理由」は、ますます熱い。 世界から陥落したとき、頭をよぎった引退という言葉も、今は傍らにない。 大橋会長も「1試合したことで吹っ切れただろう」という。 試合後、3度倒されたパルーは「八重樫は強かった。フットワークをうまく使われた。彼が再び世界王者になれるかって? もちろん、そういう実力を持ったボクサーに感じた」と八重樫の復活ロードを支持した。 激闘王は生き残った。次こそが世界再挑戦の資格を試される真のテストマッチとなる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)