中学逸材CBに思わぬオファー…告げられた「FW転向」から飛躍、強豪校3年エースの出世街道
鹿島学園のエース山本葵が歩んだ中学→高校入り後の歩み
第103回全国高校サッカー選手権茨城県予選決勝、タイムアップのホイッスルが鳴り響いた瞬間、敗れた鹿島学園のエースストライカーの山本葵はその場に崩れ落ちて涙を流した。試合後、解散式を終えたチームバスの前でも涙は止まらない。だが、彼は気丈にも取材に答えてくれた。 【写真】「かわいすぎる」と話題 天才17歳と顔を寄せ合いラブラブの美人彼女 「僕たちの代は試合に出ている3年生が少ないし、辛い時もありましたが、どんな時もみんなで声を掛け合ってやってきました。だからこそ、自分のゴールで勝たせられなかった悔しさがあります」 山本が言うように決勝のスタメンで3年生は彼を含め6人、ベンチは9人中3人と1、2年生がメンバーの多くを占めていた。特に2年生は注目の世代で、プロ注目のCB(センターバック)齊藤空人、DF清水朔玖、攻守の要の西川大翔、10番を背負うMF松本金太朗とタレント揃いで、プリンスリーグ関東1部でも多くの2年生がピッチに立ってきた。 その中で昨年からストライカーとして君臨する山本は、最終学年を迎えてフィジカルとスピード、そしてゴールへ向かう迫力が格段に向上して、鹿島学園のエースストライカーとして下級生が多いチームを最前線から牽引し続けた。 「まだFWとして経験は浅いですが、チームのために身体を張る、どんどん前に向かっていって相手の守備を押し込むことを意識しています」 こう口にするように彼は中学時代まで179センチのサイズとフィジカルを活かした空中戦と対人能力の高いCBだった。「時々FWをやっていました」と、チーム状況に応じてFWのオプションを持っていた山本は、所属していたFCアビリスタU-15と鹿島学園の1年生チームとのトレーニングマッチでたまたまFWとして出場をしていた時に、そのプレーを評価されて鹿島学園から声が掛かった。 「どっちも問題はなかったのですが、FWとして評価をされて入学しましたし、入ってからもスタッフの方から『FWのほうが適している』と言われたので、そこで勝負をしようと思いました」 鹿島学園のストライカーといえば、日本代表のエースストライカーである上田綺世という偉大な存在がいる。当然、山本も意識する存在となった。 「上田選手のようにポストプレーもできて、裏抜けもできて、かつ点が取れる選手になりたいと強く思いました。そもそも鹿島学園のFWは上田選手以外にもたくさん点を取っているイメージがあって、チームを勝たせる重要な存在であると理解していたので、3年間で頼れる選手にならないといけないと自覚が生まれました」 FWの動きを覚えること、周りとの連係を合わせることはもちろん、持ち味であるスピードとフィジカルを活かしたハードワークと対人だけは武器として磨き続けた。スタッフ陣にも動き方やタイミングなどを貪欲に聞いて、徐々にエースとして成長していった。