旬の大根 おろしや漬け物に向いているのはどの部位? それぞれのおいしい調理法
今や日本には100種類を超える大根が存在します。アブラナ科に属し、食べているのは肥大した根と葉の部分。旬は冬ですが、収穫せずに春を迎えると白色や淡い紫色の可憐な花が咲きます。古くから日本人に親しまれてきた大根について、栄養士の和漢歩実さんに話を伺いました。 【写真】驚くほどかわいい大根の花 可憐な姿 ◇ ◇ ◇
「おほね」「すずしろ」との呼び名も 今では100種以上ある大根
大根の歴史については諸説ありますが、地中海沿岸が起源でおよそ5000年前から食べられていたとか。その後に中央アジア、中国と渡り、日本に伝来したといわれています。 720年に完成したと伝わる歴史書「日本書紀」には「於朋花(おほね)」という記述があり、これが大根だとみられているそうです。そしてのちには「大根(おおね)」に転じて「だいこん」と呼ばれるようになったとの説があります。 また1月7日の「人日の節句」に、春の七草が入った「七草粥」を食べて無病息災や健康長寿を願いますが、この七草の一つ「すずしろ」は大根のこと。すずしろの「すず」は「涼しい」に、「しろ」は根の白さに由来しているといわれています。薬膳でも、大根は体を冷やす「涼性」の食べ物です。 現在の日本には、100種以上もの大根が存在します。葉の付け根部分が日に当たって青(緑)色になっている「青首大根」が代表的ですね。その他、葉の付け根部分が白色で江戸東京野菜の「練馬大根」、京野菜の一つでカブのように丸い形をした「聖護院大根」、鹿児島の特産品で30キロにもなる「桜島大根」など、地域によってさまざまな種類があります。
辛みの正体 部位ごとで違う?
大根の辛みは「イソチオシアネート」という成分によるものです。大根をすりおろしたり切ったりすることで、酵素と混じり合って生成されます。 辛みは部位ごとに異なり、一般的には次の3つに分けられます。食べ方や調理によって使い分けると良いでしょう。 ○上部(葉のそば) 水分が多く、みずみずしい食感です。辛みよりも甘みが強い部位のため、生食がおいしいでしょう。サラダや野菜スティックなどに適しています。大根おろしに使うとマイルドな味わいになり、辛みが苦手な人にはおすすめです。 ○真ん中 やわらかく、辛みと甘みのバランスが良い部位です。大根本来の味わいと食感を楽しめます。おでんや煮物、大根ステーキなどに適しており、きれいな丸形に仕上げるとさらに食欲をそそるでしょう。 ○下部(先端) 水分が少なめのため辛みが強い部位です。辛い大根おろしを作りたい場合は、この部位を使うのが良いでしょう。調味料が浸透しやすいので、漬け物にも向きます。