息苦しい世の中をぶっ壊せ!開催迫る高校選手権
クリスマスも正月もあったもんじゃない!
出版社に勤務していた当時の話だ。年末年始は印刷所が冬休みをとるため、雑誌の進行工程が前倒しになる。街がクリスマスで浮かれ、あちらこちらでカップルがいちゃついているころ、疲れきって自宅と会社を往復するだけの日々が続く。当然、苛ついてくる。遅筆のライターが親の仇にも見えてくる。ひとりのクリスマスは気楽だが、酒はまずいしかなりせつない。
元日は天皇杯決勝で関係各位と新年の挨拶をかわし、2日からは高校選手権。若者たちの大会が終わり、ようやくひと息つけると思っていると、世間は通常業務に戻っている。風邪をひく暇さえない。正月ってなんなんだ!?
今年も高校選手権の季節がやって来た。コロナ禍という難しい状況だ。しかも首都圏は感染が拡大している。この先どのように推移していくのか、感染症の専門家ですらわからない。大会に携わるすべての皆さんが細心の注意を払い、ひとりの感染者も出さずに閉幕してくれさえすれば、と切に願っている。
われわれメディアも現状を考慮し、通常の大会よりも選手のコンディション最優先で取材しなくてはならない。30年近く前、雨と汗に濡れた選手にベンチコートすら着させず、ピッチの脇でだらだらとインタビューを続けた者がいる。
「おまえら、ふざけるなよ! 選手が風邪をひいたら責任を取れるのか!?」
監督の怒号がプレスルームまで聞こえてきたことを、いまでも鮮明に覚えている。個別のインタビューは控えた方が賢明だ。
さて、99回目を数える高校選手権は12月31日の開会式から1月11日の決勝まで、全12日間の日程だ。埼玉スタジアムで準決勝2試合と決勝を開催し、そのほか駒沢陸上競技場、味の素フィールド西が丘、ニッパツ三ツ沢球技場、浦和駒場スタジアム、NACK5スタジアム大宮、フクダ電子アリーナ、ゼットエーオリブリスタジアムで、真冬の寒さを吹き飛ばす熱い闘いが繰り広げられる。