知的障がい者サッカー 初の全国大会 茨城・城里で12月 J2水戸企画 「誰もが楽しめる環境を」
サッカーJ2水戸ホーリーホックは28日、茨城県城里町で12月に、知的障がい者による初の全国サッカー大会を開催すると発表した。「誰もが活躍できる社会」の実現に向けた取り組みの一環として企画。東京都内で同日、会見を開き、小島耕社長が「誰もがスポーツを楽しめる環境、障がいの有無なく夢や目標を持てる環境をつくりたい」と開催経緯や思いを語った。 知的障がい者サッカーは日本サッカー協会が定める「障がい者サッカー」カテゴリーの一つで、国内の競技人口は約5500人。Jクラブが運営するチームは、昨年12月にJ2水戸が設立した「クノスフェアビデ(クノファビ)」を含め、まだ6チームと発展途上にある。障がい者サッカーの新たな事例を作り、さらなる普及を目指すため、大会が企画された。 大会はクラブパートナーの太平電業が協賛し、大会名は「太平電業カップ」となった。12月14、15両日、城里町小勝のアツマーレで行われる。 出場するのはJ2水戸のクノファビのほか、横浜Fマリノスフトゥーロ(神奈川)、アスルクラロ沼津ジャンプ(静岡)、RSSセリオーレパラデイロ(沖縄)の4チーム。試合は11人制の30分ハーフ。総当たりで優勝チームを決める。 会見には小島社長のほか、太平電業の野尻穣社長、大会アンバサダーとなった日本障がい者サッカー連盟会長で元日本代表の北沢豪氏が登壇した。 水戸の小島社長は、多くのチームが月謝制や会費制を敷くことから、活動や遠征移動など資金的な課題に頭を悩ませていることを踏まえ、「日々の練習はできるが、試合機会がなかなかつくれない。選手のために大会をつくろうとパートナー企業に募り、それが実現した」と説明。初の全国大会開催で、他のJクラブが障がい者チームを設立することへの働きかけも狙いの一つとし、将来的にリーグ戦開催も目標に掲げた。 太平電業の野尻社長は「障がいがある方々の新たな可能性を見いだし、理解を深め、社会参加の推進に寄与したい」と思いを口にした。 北沢氏は障がい者サッカー先進国である欧州や南米地域を例に挙げ、「世界大会は3万人のスタジアムが満員になる。国民やJクラブの理解がもっと深まれば、発展する可能性は十分にある」と強調した。
茨城新聞社