福岡県水巻町の女性殺害、妹の知人に懲役20年判決…福岡地裁小倉支部「強盗を促進する重要な役割」
福岡県水巻町で昨年6月、パート従業員の辻つぐみさん(当時52歳)が殺害され通帳などが奪われた事件で、強盗致死罪などに問われた北九州市小倉北区、無職岡村恵美被告(48)の裁判員裁判の判決が12日、福岡地裁小倉支部であった。武林仁美裁判長は「強盗の実行に不可欠で重要な役割を果たした」と述べ、懲役20年(求刑・懲役27年)の判決を言い渡した。 【イラスト】判決を聞く辻和美被告(8月)
判決によると、岡村被告は、知人で辻さんの妹の辻和美被告(52)(強盗殺人罪などで1審・無期懲役、控訴中)と共謀。昨年6月2日、辻さん宅で和美被告が辻さんの首を絞めて殺害し、通帳を奪って約100万円を引き出すなどした。
岡村被告は強盗致死罪について無罪を主張したが、判決は、和美被告を送迎し、催涙スプレーの購入を手伝ったことや、約100万円のうち少なくとも91万円を受け取ったことを挙げ、共謀を認定した。
武林裁判長は「事件は和美被告が計画、実行したもの。岡村被告は、辻さんを死亡させるとは想定していなかった」としつつ、和美被告の動機は「岡村被告に金銭を渡すためだった」とした。背景には、岡村被告が精神的に優位に立つ関係があると指摘し、「強盗を促進する重要な役割を担い、責任は重大」と断じた。
20年間で5800万円融通受ける
裁判では岡村被告と和美被告の関係性の解明が焦点となった。判決は、和美被告が当たり前のように金銭を融通する「岡村被告優位」の関係性が長年の付き合いの中で形成され、事件発生に影響したと判断した。
被告人質問などによると、同僚だった2人は約20年前、「ママ友」として交友をスタート。その頃、岡村被告は和美被告に「計500万円くらいを貸した」とし、和美被告からの返済名目の送金が始まったという。和美被告はパチンコなどで借金を重ね、子どもを残して失踪した。公園で寝泊まりするホームレスとなり、売春をしながら送金を続け、約20年間で総額は約5800万円に及んだ。
公判で岡村被告は「(和美被告から)家族に危害を加えると脅され、逆らえなかった」と主張したが、武林裁判長は、岡村被告が和美被告をののしる携帯電話のメッセージから「不合理な弁解だ」と退けた。