ECBが3会合連続利下げ、0.25ポイント下げ3%に-経済下支え
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は12日、3会合連続となる利下げを発表した。インフレ率が目標の2%に近づく一方で経済は低迷していることから、来年もさらなる利下げを行うと示唆した。
中銀預金金利は0.25ポイント引き下げられ、3%となった。ブルームバーグのエコノミスト調査で1人を除く全員が予想した通りだった。
今回の利下げにより、6月以来の金利引き下げ幅は合計で100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。
姿勢の変化を示すように、声明からは政策金利を必要な限り「十分に景気抑制的な」水準にとどめるという文言が削除された。
「政策委員会は、インフレ率が中期目標の2%で持続的に安定することを確実にする決意だ」とECBは表明。「適切な金融政策のスタンスを決定するに当たり、データ次第かつ会合ごとのアプローチを継続する」と続けた。
発表後にユーロは一時0.3%安となった。市場が織り込む来年の利下げ幅は発表前とほぼ変わらず、125bp程度となっている。
金利を「景気抑制的な水準」に維持するという文言が削除されたことが投資家の注意を引いたが、記者会見でのラガルド総裁はそれほどハト派的ではなく、イタリア債を中心にユーロ圏国債は下落した。
10年物イタリア債利回りは11bp上昇して3.3%と、12月2日以来の高水準。2年物ドイツ債利回りは3bp上昇し1.98%を付けた。
確固たるコミットメントはないものの、連続利下げは2025年半ばまで続くと広く予想されている。すでに低迷している欧州経済にドイツとフランスの政治的混乱が追い打ちをかけるほか、トランプ次期米大統領の政策が世界貿易に打撃を与える可能性がある。
懸念されるのは、低成長が現在2.3%のインフレ率を目標よりも低い水準にまで押し下げ、新型コロナウイルス流行前のように、インフレを抑えるよりも物価を上昇させることに重点が置かれるようになることだ。