レモン鍋、地ビール、村上水軍……夏は「しまなみ海道」を巡ろう
海風を浴びながら
しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60キロメートルの自動車専用道路で、6つの島に7つの橋が架けられている。 【写真】魅力満載の「しまなみ海道」 橋にはバイクや自転車、歩行者の専用道も整備され、島々を眺めながらサイクリングを楽しむ人が多い。絶景スポットを訪れる夏旅にはうってつけの場所だ。 「しまなみ海道は、道を曲がると突然、大海原が広がったり、入り江が現れたり、造船所が見えたりと、目まぐるしく景色が変化するので、見飽きることがありません」(シクロツーリズムしまなみの宇都宮一成さん) 海道から少し離れた漁村を散策するのも一興だ。 「大規模なリゾート開発がされていない島々なので、昔ながらの素朴な風景をそのまま味わえるのも魅力の一つです」(同) 小さな漁港ではそこで獲れたタコが干される。地元の人々との会話も楽しい。
村上水軍の地を訪ねて
爽やかな潮風とともに、古き良き歴史も感じよう。 瀬戸内は古くから戦乱と交易の舞台だった。源平合戦時、源義経は大三島(おおみしま、今治市)にある大山祗(おおやまづみ)神社に戦勝を祈り、船の操縦に優れた伊予の水軍を味方にして、平氏を滅亡させたと伝えられている。 14世紀中頃からこの地で活躍したのが村上水軍(海賊)だ。伊代国の河野氏に仕えた来島村上氏、毛利氏に加勢した因島村上氏、諸大名から独立していた能島村上氏の3家に分かれる。 中でも、能島村上氏は「日本最大の海賊」と称され、瀬戸内海の水先案内、警備や運輸などを担った。 因島にある因島水軍城(尾道市)は、因島村上氏の菩提寺である金蓮寺(こんれんじ)の境内に築かれ、村上水軍に関する貴重な資料が展示されている。
義経の奉納した鎧も見られる
先述の大山祇神社には、国宝に指定された武具が数多く残る。源平合戦勝利後に義経が奉納したと伝わる「八艘飛びの鎧」も見られるのだ。 また、生口島(いくちしま、尾道市)にある耕三寺は、華やかな伽藍をもつ浄土真宗の寺院。大正・昭和期の実業家、金本耕三氏が母を弔うために建立した。 中に入ると、日光東照宮や平等院鳳凰堂などを模した建物が並んでいる。 これらの名所を観光したら、いざ、美味しい料理とビールに酔いしれよう。