テーマは“役割を演じる”、文学座アトリエの会が山崎元晴の「リセット」上演
文学座3月アトリエの会「リセット」が3月11日から23日まで東京・文学座アトリエで上演される。 【画像】文学座3月アトリエの会「リセット」チラシ裏 山崎元晴が劇作、西本由香が演出を手がける本作は、出演者の石井麗子が企画したもの。劇中では、帰らぬ息子の部屋を20年間保存している母親と、家の処分を迫る妹夫婦、高齢の母を介護するヘルパー、そして虚ろな目をして佇む息子の姿が描かれる。 山崎は「近頃は人間関係のしがらみに疲れ、全ての連絡先を断つ『リセット症候群』という言葉があるようです。果たして本当の意味で“リセット”できてしまった人間は、自らの本質に辿り着くことができるのでしょうか? 『役割を演じる』ことがテーマの本作で、演じるプロである文学座の皆様に上演して頂くことは、この上なく贅沢な試みです」とコメントした。 出演者には石井のほか、赤司まり子、奥山美代子、沢田冬樹、木津誠之、越塚学、比嘉崇貴、夏八木映美子が名を連ねる。山崎、西本のコメントは以下の通り。チケットの一般販売は2月7日10:00にスタート。 ■ 山崎元晴コメント 人と繋がることは、自分の「役割」ができることでもあります。結婚すれば誰かの「夫」や「妻」になり、誰かの「友達」や「同僚」、「親」や「子」になることもあるでしょう。自分の役割が増える度、「さて自分の本質とはなんだろう?」と考えます。 近頃は人間関係のしがらみに疲れ、全ての連絡先を断つ「リセット症候群」という言葉があるようです。果たして本当の意味で“リセット”できてしまった人間は、自らの本質に辿り着くことができるのでしょうか? 「役割を演じる」ことがテーマの本作で、演じるプロである文学座の皆様に上演して頂くことは、この上なく贅沢な試みです。この実験の行く末が、今から楽しみでなりません。 ■ 西本由香コメント 「それ」が「それ」であること、「誰か」が「誰か」であること、それはどこまで確かであり得るか。 それは山崎元晴さんの作品に共通するテーマと言ってもいいかもしれません。 元晴さんの新作に触れるたび、台詞の硬質な確かさに驚かされます。20代の作家のものとは思えないほど成熟した筆致であり「呼吸を伴ったセリフ」それが私にとって演出欲のようなものをムクムクと湧き立たせる原動力となるのです。 緻密な構成の中に独特の不条理な空気感が漂う、ピンターや別役実を彷彿とさせるその言葉で、何気ないやりとりの中に緊張感を生み出し、物語をグイグイと引っ張っていきます。そうして行き着いた先で、私たちはいつの間にか「それ」と思い込んでいたものが一変し、違う姿を見せ始める心地よい裏切りに出会うのです。私たちを認識の裏側へと誘い、一人の視点では到底見られない世界を見せてくれる彼の作品には、常に知的好奇心を刺激されます。今回の新作でも冒頭の台詞から期待と謎は膨らむばかりです。あとは私たちがそれをさらにどう立体化していくか、どうぞご期待ください。 ■ 文学座3月アトリエの会「リセット」 2025年3月11日(火)~2025年3月23日(日) 東京都 文学座アトリエ □ スタッフ 作:山崎元晴 演出:西本由香 □ 出演 赤司まり子 / 石井麗子 / 奥山美代子 / 沢田冬樹 / 木津誠之 / 越塚学 / 比嘉崇貴 / 夏八木映美子 ※U-30チケット、高校生以下・新宿区民割あり。