40代、50代の気持ちがラクになる「幸福学」講座/人生後半、もう新しい友だちはつくれないの?
「幸福学」の第一人者、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生に、OurAge世代が幸せに生きる道を教わるこの連載。生きがい・パートナーシップ・お金という3大悩みに続く最終回は、「ともに成長できる、新しい友だちが欲しい!」というお悩みについて、話を伺った。
女性ならではの雑談力を生かして
「職場や学生時代からの友だち、地域のママ友など、あまり代わり映えのしない人間関係、いつも同じ話(マウンティングを感じる子どもの自慢話、夫の愚痴等々)。狭いコミュニケーションがだんだん退屈に感じてきました。かといって、現状の友人関係を壊したくもありません。今の年齢から新たに、お互いが成長できるような友だちをつくるにはどうしたらいいでしょうか」(50代・会社員) ――40代、50代の女性は、一見友だちづき合いは多いように見えますが、幸福学でいう多様性という観点では人間関係はやや狭いのかなとも思えます。幸福学の視点から見ると、OurAge世代の幸せな友だちづくりについては、どのように考えればいいのでしょう? 昔からの友だちと愚痴を言い合うだけではなく、できれば新しい友だちと、生産的で面白いコミュニケーションがしたい、ということですよね。趣味ややりがいで、新たに人とつながりたいという、この方のお気持ちはよくわかります。 実際、男性のほうがそれがなかなかできず、孤独になってつらい人が多いんですよ。会社で出世しても定年後、よし地域に貢献するぞと参加しても、同世代の女性方にうっとうしいと思われる。がっかりして家に籠もって、お酒を飲んでずっとテレビを見ていると、今度は奥さんからも嫌がられる…というのが、多くのおじさんのパターンです。 一方の女性は、代わり映えのしない人間関係とおっしゃるけれど、「やりたいことが見つからないのよね」など、よくおしゃべりをするじゃないですか。この雑談力が、幸福学的にはとてもプラスに働く要素なんです。 ――そうなんですか? 考えてみると、女性の場合は会話の9割くらい雑談かもしれません。 以前、「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」と言った元首相の発言が問題になりましたよね。でも、話の長いことがいいことなんですよ。話が長いからこそ、幸せにつながる。なぜかというと、9割も雑談をしている中では、情報交換の量もたくさんあるじゃないですか。そこから興味関心が湧いたり、新しい趣味や推しが見つかったりするわけです。だからよく男性にありがちな「早く結論を言って」みたいなことばかり言っていると、決まり切った話しか出てこないし、新しい友だちも増えないと思います。 ――あれっ? だったらもう、あまり悩まなくてもいいような気もしてきましたが(笑)、この方の場合は、愚痴も井戸端会議もできる過去の友だちも大事にしつつ、新たな友だちも欲しい、ということですね。