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主演男優賞は「テセウスの船」竹内涼真 父に名前を呼ばれる場面は『自然に涙が流れました』【ドラマアカデミー賞】

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ザテレビジョン

「テセウスの船」(TBS系)で日曜劇場に初主演し、大量殺人の犯人とされた警察官の息子・田村心を演じた竹内涼真。心が自分の生まれた平成元年にタイムスリップし、数奇な運命に翻弄されながらも父親の逮捕を回避しようとする姿を情感たっぷりに演じ、第104回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演男優賞を受賞した。(※以降、一部ネタバレを含みますのでご注意ください) 【写真を見る】初共演の鈴木亮平は「本当にお父さんのように思っています」 ■ 壮絶な過去を背負う役は気合が必要だった ――「テセウスの船」で主演男優賞を初めて受賞されました。感想を聞かせてください。 ありがとうございます。撮影期間の4カ月はさまざまなことがあって、きつかった瞬間もあったけれど、いろんな方に見ていただけて、やりがいを感じました。そもそもドラマの評価って難しいじゃないですか。視聴率が上がっていくのも嬉しかったけれど、それ以上の反響に加え、こうして評価の一つの形として、ザテレビジョンの賞をいただけたのはすごくうれしいです。 ――田村心は、現在と過去を行き来しながら大量殺人の罪で捕まった父親の運命を変えようとする役でした。演じる上で難しかったことは何ですか。 まず、心の背負ってきたそれまでの人生を考えました。彼はこれまでどんなふうに生きてきたのだろうと…。でも、心の場合はそれがあまりにも壮絶すぎて、リアルに想像して現場に入っていくのには気合も集中力も必要でした。 それに加えて、このドラマはミステリーでもあるので、その展開と役の気持ちをすり合わせてどう表現するかが難しかったです。撮影が始まってすぐ、その部分は丁寧に時間をかけて監督さんと話し合いました。 ■ 現実にはありえない行動も自分に落とし込めるまで話し合った ――特に難しかったのはどの場面ですか? 例えば、普通、死体を発見したら警察を呼んで事情を説明するじゃないですか。でも、心はその場から立ち去ってしまう。現実だとありえないけれど、心はこの物語の世界で生きているわけですから、そこをどう表情など細かい部分を表現して、立ち去るしかないという見え方にするのか。それは自分に落とし込めるまで監督に相談しました。 だから、少なくとも現場での僕は確信を持って目の前の死体から逃げていたし、みきおに騙されていました(笑)。その積み重ねがあったから、皆さんに面白いと言ってもらえたのかなとも思いますね。 ――そんな心の行動がSNSでは話題になっていましたが、視聴者の声は竹内さんに届いていましたか? もちろんSNSでの反応は現場でも話題になっていましたし、共演した方々からも聞いていました。SNSでは「死体から逃げるな」とか「大切な証言をなぜ録音しておかないんだ」とか、いろいろ指摘されましたが、それも結果的に、このドラマが盛り上がった要因になったので良かったなと思っています(笑)。 ――父親の佐野文吾を演じた鈴木亮平さんとの共演はどうでしたか? このドラマで初めての共演でしたが、一緒にたくさんのシーンを乗り越えなくてはならない役だったので、僕は本当にお父さんというか、そんなふうに思っています。心は追い詰められたり感情がわーっと高まったりするシーンが多い中、亮平さんには毎日のようにすごく助けていただいたし、お互いに信頼し合いながら最後までやれたなと思います。 ――最終回、過去にいた心が真犯人に刺されて死んでしまう場面は迫真の演技でした。 何度もできる場面ではなかったので、僕としては最初から集中して演じたけれど、監督から「死ぬときの表情が切実すぎて、見る方としては苦しくなってしまうので、もう少し心にとって幸せな終わり方に見せたい」と言われ、もう一度、撮影しました。 あの場面で心は文吾さんに「お前は俺の息子だ」と言われ、初めて「心」と名前を呼ばれる。あの一瞬で心がずっと苦しんでもがいてきたものが少し救われたと思うんです。僕も演じたときはテンションが上がっていたので、意識したわけではないけれど、自然に涙がすっと一筋流れました。 ■ 文吾さんが亡くなるときに、心は本当のことを知らされるのかも ――そして、心はまた現在に戻り、これまでとは違った世界で父親と会う。あの終わり方は竹内さんとしても納得できましたか。 はい。僕は好きな結末で、一番いい形で終われたと思います。過去ではお母さんのおなかにいた心が無事に誕生し、大人になって妻の由紀(上野樹里)と一緒にやって来る。タイムスリップした心のことはお父さんが全部背負っていく形になりましたけれど、あのときの文吾さんの優しい表情が好きでした。 もしかしたら、あの先々で心が本当のことを知らされるのかもしれないですね。文吾さんが亡くなるときに、打ち明けられるのかも? ――心と由紀の関係も、夫婦だった世界、由紀が記者だった世界、そしてラストシーンの世界と3パターンありました。 印象的だったのは、第1話の自宅でのシーンと第6話での別れのシーン。心は第1話では「父親が殺人犯である」ことから逃げているんですよ。それで由紀に過去と向き合うよう訴えかけられていたけれど、第6話では由紀に別れを告げて真犯人と対決しにいく。そこで男として一つ成長したのかなと思いました。心が成長できたのは由紀のおかげで。 今回、実際に指輪をはめて演技をしてみて、指輪というものが心の拠り所になるんだなというのが分かりました。由紀がいない場面でも、指輪があるとやっぱり彼女のことを思い出すんですよね。でも、第6話の指輪は第1話で由紀と結婚していた世界のもので、彼女は目の前にいるけれど、妻ではない。つながっているようでつながっていない、「テセウスの船」のテーマに通じる辛さも感じました。 ■ 日曜劇場の主演という現場をやり遂げられたことは大きな自信になりました ――特別賞を子供時代のみきおを演じた柴崎楓雅くんが受賞しました。共演はどうでしたか? 楓雅くんは人懐っこい男の子で好奇心旺盛。最初から仲良くなれました。「これってどうやったらいいんですか」と素直に聞いてくれるので、現場ですぐにコミュニケーションがとれて。みきおは、キャラクターそのものが普通ではないじゃないですか。その特殊さについて監督が熱心にディレクションすると、楓雅くんの演技が分かりやすく変わる。 すごく才能のある子だけれど、このドラマでその才能がみなさんに一気に伝わったと思います。これからどうなっちゃうんだろうと思うと、すごい楽しみですよね。クランクアップしてからは会えていないけれど、彼の4月の誕生日にはメッセージを送りました。 ――脚本賞、監督賞も「テセウスの船」が受賞しました。スタッフに助けられたのはどんなところですか。 僕が苦悩しているとき、3人の監督さんが共にとことん考えてくださり助かりました。僕にとっても日曜劇場は4回目でしたが、今回は主人公だったので、その分、最後までどうやって心情をつなげたらいいのか、すごく悩みましたし。 心はタイムスリップを何度も繰り返してひとりで他の人の何倍もいろんな景色を見ている。その分、最終回が近づくにつれ、いろんなことが頭をよぎって、心という人間をどう表現するのが一番いいのかわからなくなりました。そこを監督さんたちに助けていただき、無事に乗り越えることができました。 ――竹内さんが「テセウスの船」で得たものは何ですか? 連続ドラマを10話分作るのはもちろん大変な労力で。でも、さらに、スタッフとキャスト全員が同じ方向を向き「何が正解なのか」ということを突き詰めて考え、本当に1話ごとに全力を尽くさないと、視聴者の方に熱量を届けるのが難しいんだなと感じました。僕はこれからもその現場ごとにまた悩むだろうけれど、日曜劇場の主演という現場をやり遂げられたことは大きな自信になりました。 それだけではなく、終わってから振り返ると「あのときこうやっておけばよかったかも」という反省も正直あります。そういう思いは次の作品に活かしていきたいです。僕の仕事は、そういうことの繰り返しなのかな…。「テセウスの船」はとにかく全力でやっていたのですが、その疲れはクランクアップ後、2週間ぐらい遅れて出てきました。目の下のクマが取れなくて、髪の毛にもコシがなくなってしまって…。こういうのって時間差で来るんだなぁと思いました(笑)。(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)

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